給与デジタル払いで「人生の選択肢」を増やす。お金の流れを変えるサービスを日本で初めてリリース

2024.10.30

PayPayグループのビッグプロジェクトの舞台裏に迫るProject Storyシリーズ。
このシリーズでは、実現された重要なプロジェクトに焦点を当て、その裏にあった困難やこだわりなどのリアルなストーリーを、担当者へのインタビューを通じてお届けいたします。
今回は、給与デジタル払いプロジェクトの推進に携わったお二人にお話を伺いました!


鈴木 把二也(すずき はにや)

金融事業統括本部 金融戦略本部 金融プラットフォーム開発部 給与デジタルチーム リーダー

金融機関向け基幹システムの設計開発やプロジェクトマネジメントに携わった後、LINE(現LINEヤフー)でPMOとしてシステム企画・プロジェクトマネジメントに従事。金融領域で新規サービスの企画・開発に関わりたいと考え、PayPayに参画。


大塚 千壽子(おおつか ちずこ)

金融事業統括本部 金融戦略本部 金融プラットフォーム開発部 給与デジタルチーム

ソフトバンクBB(現ソフトバンク)にて営業推進に携わった後、SBペイメントサービスにて決済やアクワイアリングのサービス企画等に従事。PayPayには2018年から参画し、給与デジタル払いプロジェクトにも初期から携わる。

給与日にお金が自動で入る「デジタルの財布」を実現し、給与の利活用を促進したい

お二人が推進した、給与デジタル払いプロジェクトの概要を教えてください

大塚:
給与デジタル払いとは、現金や金融機関口座での受取が可能な給与支払いにおいて、新たに資金移動口座での受け取りもできるようになることです。PayPayでは2024年8月14日よりソフトバンクグループ各社の従業員を対象に「PayPay給与受取」のサービスを開始しました。2024年内には、すべてのPayPayユーザーにサービスを提供予定です(※PayPay給与受取は、本人確認済みのユーザーを対象に提供します)。

PayPayはいわば「デジタルのお財布」です。日常のお買い物も、クーポンやスタンプカードなどの確認も、投資・保険など金融商材への利用も、PayPayでできる。つまり、給与をPayPayアカウントで直接受け取るということは、ATMで現金を引き出さなくても、給与日に自動的にお財布にお金が入ってきて、そのままお金を使える点が魅力です。

鈴木:
元々、給与は現金での手渡しが原則でしたが、1968年に起きた3億円事件をきっかけに給与のような大金を持ち歩くリスクが広まり、銀行口座への給与振込が広まったといわれています。給与デジタル払いはそれ以来の、給与の意識転換のきっかけになりうるものです。銀行振り込みされた給与は「貯蓄」にまわるケースが一般的でしたが、PayPay給与受取の利用を通じ、PayPay上での決済や送金をシームレスに実現することで、給与の利活用を促進したいです。

お二人の担当業務と、プロジェクト内での役割を教えてください

大塚:
私は2018年からPayPayに参画していますが、その少し後くらいから給与デジタル払いの検討を開始しました。当時は、PayPay自体が立ち上げ期のため所属部署にとらわれず「できることはすべてやる」の精神で、サービスの企画や、プロダクト支援などを行いながら、給与デジタル払い対応も構想してきました。

給与デジタル払いを始めるには、厚生労働大臣からの指定を資金移動業者として得る必要があります。そのため、労働基準法施行規則を満たすサービス設計や、指定審査の対応などを担当しました。

鈴木:
私はPayPay給与受取のサービスがほぼ完成し、厚労省の指定受領を待っていた頃の参画だったため、当初は今後に向けた機能改善の検討が主なタスクでした。ところが、リリース準備を進める上で当初想定していなかった様々な課題が発覚し、リリースの見通しが立てづらくなったため、一部スコープ変更のオプションを検討するなど、試行錯誤していました。リリースの目途が立ち始めたころからは、PMOとして全体の状況・課題把握および統括本部長・本部長へのレポートを担当しました。

「お金の流れを変える」サービスだからこそ、日本初のリリースにこだわる

プロジェクト発足の経緯を教えてください

大塚:
給与デジタル払いの検討は、当初、事業担当は私ともう1人のわずか2人でスタートしました。当時は、内閣府と厚生労働省にていわゆる給与デジタル払いについて検討が始まった段階。公表される情報を見つつ、「賃金のデジタル払いにPayPayとしてどのように対応できるか」を検討しました。

その後、要件が詳細化されていき「資金移動業者の口座への賃金支払に関する資金移動業者向けガイドライン」といった具体的な要件が公表されました。それを踏まえて、当初より考えていたサービス仕様の詳細化、プロダクトメンバーによる開発もスタート。厚生労働省による申請受付が開始した2023年4月1日に指定申請を提出し、日本初の指定受領を目指しました。

日本初にこだわった理由は、給与デジタル払いに「お金の流れを変え得る将来性」を感じるからです。どの会社よりも先にユーザーの皆さまへ給与デジタル払いをお届けするべく、チーム一丸で準備をしてきました。

特に大変だったのはどんなことですか?

大塚:
やはり、法規やガイドラインを踏まえて、どのようにサービスを作るか悩みました。公表されたガイドラインをはじめ、要件を満たすようにサービスを企画していくのですが、途中で要件充足のための考え方を見直すなど、サービスの根本設計や事業計画の調整も発生しました。「日本で初めての取組」ですから、企画や開発は簡単ではありませんでした。

ですが、プロジェクトメンバーも含め「日本初」を達成したい思いは揺るぎませんでした。状況を整理して再起動し、開発を担うプロダクトメンバーに加え、インターネット専業銀行として長い歴史を持つPayPay銀行とも連携しながらサービス仕様を固め、2024年8月9日に厚生労働大臣による指定第1号を受領したときは、皆の苦労が報われました。

鈴木:
給与デジタル払いは複雑なスキームで成り立っており、社内のプロジェクトメンバーだけでなく、PayPay銀行をはじめ、社外にも多くのステークホルダーがいる案件。PMOとしては、スピードと質を担保して社内外の調整や情報共有、交渉をまとめる難しさを感じました。

例えば、給与デジタル払いは情報の秘匿性が高く、時にはプロジェクトメンバーにも情報を秘匿しながらのプロジェクト進行が必要でした。明確なゴールを示してメンバーのモチベーションを上げることが難しい状況下、大塚さんをはじめメンバーの協力を得て「情報開示できるギリギリのライン」を検討。また、毎日必ずプロジェクトのSlackチャンネルで状況を共有し、たとえ一方通行でも最新の状況を届けるよう工夫しました。

リリース後の反響と今後のビジョンを教えてください

鈴木:
2024年8月9日の指定受領からわずか2週間で、100以上の企業から問い合わせをいただいています。お盆休み期間にもかかわらず報道後の反響も大きく、社会的な注目度の高さを感じますね。

一方、既存の経理フローにはない給与デジタル払いの処理は、従業員・企業双方の負担を増やす可能性があるため、今後は機能の改善・強化と並行してユーザーの皆さまの利便性向上にも注力したいです。具体的には、システムの力を使ってシームレスな給与デジタル払いと・受け取りを実現するため、人事・労務システム事業者様との提携を強化していきます。2024年8月21日には「勘定奉行」をはじめとする奉行クラウドなどの基幹業務システムを開発・販売するオービックビジネスコンサルタント様との提携を発表したように、外部企業との連携を通じてさらに魅力あるサービスをつくっていきます。

大塚:
給与デジタル払いが持つ価値のひとつに「選択肢が増えること」があると思っています。インターネットの登場で、誰もが簡単に情報にアクセスできるようになった結果、日常生活が便利になり、人生の選択肢も増えました。同様に、お金の使い方・受け取り方の選択肢が増えれば、お金の流れがもっと自由になる。すると、たとえば「現金は持ち歩きたくない」「お金の管理の手間を減らしたい」といった、個人の価値観やライフスタイルをより尊重できるようになる。選択肢の増加は「自由」に直結すると思っているので、給与デジタル払いを入口に、PayPay全体がその一助になれば嬉しいですね。

Day1精神を忘れず、ユーザーファーストで取り組む

仕事をするうえで大切にしていることはありますか?

大塚:
PayPayが大切にする価値観であるPayPay 5 sensesのひとつ「Work for LIFE, or Work for Rice- What is your real purpose? -」です。私はPayPayアプリがリリースされる前から携わっていますが、私たちはまだ何者でもなく、いつもDay Oneであると考え、挑戦と成長を継続したいと考えています。創業時と変わることなく、スピード感をもってユーザーの皆さまへ、ご自身らしいライフスタイルの一助となれる決済・金融体験をお届けできるよう、サービスや仕組みを作っていきます。

鈴木:
同じくPayPay 5 sensesの「Be Sincere To be Professional」 です。メンバーをプロフェッショナルとして尊重し、情報はできるだけ共有することや、相手に合わせたコミュニケーションを使い分けることを心がけています。今回のプロジェクトでも、プロフェッショナルなメンバーが一直線にゴールを見据えて働けるよう、数百人規模の大所帯へ毎日情報を共有したように、制約の中でも工夫して情報を届けていきたいです。

PayPayで働き甲斐を感じる点を教えてください

鈴木:
とにかくユーザーファーストなところです。PayPayには様々なバックグラウンドのメンバーが集まっていますが、「ユーザーの声が一番だ」という想いは共通していて、根本の軸がブレない点は魅力です。

そして、PayPayには6,500万人(2024年8月時点)の膨大なユーザーと、同じく膨大なデータがあります。給与デジタル払いが大きな話題になったように、ユーザーからのフィードバックをダイレクトに得られ、ローンチ後もデータを基にした検証を進められる。世の中をより良く変えていくためのチャレンジが楽しいです。

大塚:
まだ世にないものを作るのは楽しいです。特に金融領域はまだまだ旧来の仕組みをブラッシュアップできると考えており、給与デジタル払いのように新しい発想のサービスをどんどん生み出していきたい。もちろん、ユーザーの皆さまを保護するために厳しいルールがあり、時には難しさを感じることもあります。ですが、ルールの中で「どうやったらお客様が利用しやすいサービスになるのか」を試行錯誤して練り上げていくことに、PayPayにおける企画職の醍醐味を感じます。

最後に、読者へのメッセージを教えてください!

鈴木:
2024年9月の組織改編で、私たちは「給与デジタルチーム」の一員となり、給与デジタルに特化して機能の強化や利便性向上へ今まで以上に注力します。社内外の大きな期待がかかる給与デジタル払いをアップデートし、ユーザーの皆さまから「PayPay給与受取を使いたい。うちの会社にも対応してほしい」と言ってもらえるサービスにするため、もっと多くの仲間が必要です。大変なことも多いですが、最後まで諦めずに粘り強く、周囲と協力して頑張れる方、ぜひ一緒にPayPayで働きましょう。

大塚:
粘り強く議論できるコミュニケーション力と、一度決まったことでも必要ならば組み立て直す胆力のある方、またその道程を楽しめる方は、PayPayでさらにスキルアップできると思います。個人的に心掛けているのは、共に働く仲間を「決して一人にしない」ことです。同じ山を登るひとつのチームですから、それぞれの良さを尊重し合って支え合って進んでいきたいですし、同じように声を掛け合って走れる仲間をお待ちしております!

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