PayPayグループで働くプロフェッショナルに迫るプロフェッショナルシリーズ。
今回は、法務コンプライアンス本部の3名にインタビュー。業界に先駆けてビジネスコンプライアンスチームが設置された背景や、働く中での面白さを伺いました。

鈴木 秀俊(すずき ひでとし)
法務コンプライアンス本部長 兼 政策渉外部長
国内外の証券会社・銀行、FinTech企業にて、内部管理態勢の再構築、コンプライアンス業務に従事。約13年の監督官庁等との渉外対応経験を有する。2021年11月にPayPayに参画。第2線の立場で、AML/CFT態勢高度化及び当局対応を主軸に活動。

桑原 和明(くわばら かずあき)
法務コンプライアンス本部 コンプライアンス部長
大学卒業後、官庁にて金融行政や検査を担当。その後、信託銀行、証券会社、コンサルファーム等で、コンプライアンスや内部監査等の内部管理態勢の構築や強化に従事。2019年8月にPayPayに参画。その後、ベンチャー企業経験を経て、2022年2月に出戻り。

磯部 健太郎(いそべ けんたろう)
法務コンプライアンス本部 コンプライアンス部 ビジネスコンプライアンスチームリーダー
大学卒業後、国内生命保険会社に入社、営業企画、支店経営管理に5年間従事したのち、PayPayのグループ会社であるソフトバンク株式会社に入社。事務企画、事業開発など様々な領域で経験を積み、2020年10月からPayPayへ参画。
コンプライアンスは事業の足枷?
コンプライアンスの課題と役割はどんなところにありますか?
鈴木:
コンプライアンス、特に金融機関におけるコンプライアンス部というと、法令や社内規則の遵守状況を監視したり、違反行為などを指摘するイメージが強く、一般的に「ビジネスの妨げになる」と批判されることがあります。
ですが、同じ企業内に設置されていることからも明らかなように、コンプライアンス部は1線の「敵」ではなく、「味方」です。企業の成長やサービスの拡大・拡充のために、その推進を妨げるような態勢不備がないかを確認し、必要に応じてそれらを是正する役割を担っています。
1線が営業活動や機能開発・改善などの前向きな収益貢献行動を担う一方で、2線としては1線とは異なる角度・立場から、1線の活動を援護射撃するような行動が期待されます。

「ビジネスコンプライアンスチーム」(通称ビジコン)を組成
鈴木:
そんな中で、2022年11月に法務コンプライアンス部が法務部とコンプライアンス部の2部体制に分かれて、さらにコンプライアンス部の中にビジネスコンプライアンスチームという部署が新設されました。コンプライアンス部が1線のビジネスと距離のある部署ではなく、より近い位置で支援するために存在していることを明確にするための組織編成です。
ビジネスコンプライアンスは、他の同業他社でも一般的に存在している部署なのでしょうか?
鈴木:
海外では倫理コンプライアンス・ビジネスコンプライアンスは珍しいものではありませんが、日本では特にフィンテックカンパニーにおいては法務系のコンプライアンスが主流であるため、他社ではまだほぼないと言っていい状況です。そんな中、私たちはNo.1フィンテック企業を目指すべく、業界に先駆けて、現在7名体制でビジネスコンプライアンスに取り組んでいます。

ビジネスコンプライアンスは、1線に寄り添った「攻め」のコンプライアンス
そもそも、みなさんがPayPayで働いている理由は?
磯部:
私は、ソフトバンク時代にPayPayの金融ライセンスの取得に携わるなかで、ビジネスの幅広さに惹かれました。また事業部の方と「こんなことやりたいんだけど、どう?」「じゃあこうしていきましょうか」とコミュニケーションをとりながら進めるのがとても楽しくて、ずっと続けていきたいと思い、今に至ります。現在は、新設されたビジネスコンプライアンスチームでリーダーを担当しています。
桑原:
私の場合実はPayPayに入社したあと、もう少し規模感の小さい会社を経験してみたくて一度他社に転職したことがあるのですが、再びご縁があり戻ってきて今ここにいます。PayPayでは社会にインパクトのある大きなことを、スピード感を持ってやっていけるのが良いところだと思っています。現在はコンプライアンス部で部長を務めています。
コンプライアンスでは、実際にどんな業務を行っていますか?
鈴木:
当社が行う事業の前提である、業(ライセンス)の維持管理を「守りのコンプライアンス」として行う一方で、1線が企画する新規事業や新サービスを「法令を遵守し、利便性も高く、利用者に愛される」サービスとして実現すべく、2線各部署と連携してチェック・サポートを行う「攻めのコンプライアンス」に注力しています。
その上で、何よりも一番大切なのは社内コミュニケーションです。1線と近い位置で支援していくためには、まずは当社のサービスと、当社のサービスを作り上げている各部署の目的・課題、そしてその先にいるお客様の期待やご要望をよく知る必要があります。
ビジネスコンプライアンスが新設されてから、直近はどんな取り組みをしていますか?
桑原:
上記のチーム設立の狙いや期待役割のもと、まずは、チームの体制作り、意識改革から取り組みました。チーム全体でのMTGや、メンバーと個別の1on1などの日々のコミュニケーションを通じて、マインドをみんなで変えていくことが重要だと考えています。

磯部:
社内では日々多くのアイディアが生まれており、1線からは「例えばこんなことできるのだろうか?」と多くの企画アイデアを相談されます。それらに対して、ありきたりな評論を行うのではなく「どうしたら企画を進め、良いサービスとして実現できるか」を1線と一緒になって考え、2線の専門部署にも声をかけて皆で知恵を出す。結果、良いサービスをスピード感をもって適切な形で世に送り出す。この流れを加速させるべく、日々取り組んでいます。

現場としての課題感、今後強化していきたいことは?
磯部:
- サービス内容を理解する
- 企画の背景や目的を汲み取る
- お客様(社外、世間)の反応を想像する
これらが真に実施でき、企画側である1線は勿論、2線間で連携が取れていないと、思うような結果に至らないことも多々あります。サービスやビジネスの背景を知っていないと、説得力を持って1線へ説明や提案を行うことはできません。それだけでなく、リリースした先の世間の反応まで想像すること。これができるようになれば、ビジネスを推進する1線の援護射撃をするというビジネスコンプライアンスの役割を果たすことができるのではないかと思います。
鈴木:
何か問題があっても、机上の理論を押し付けないことが重要ですよね。1線である現場の人が何を考えて、何に苦しんでいて、何を実現したいのかを理解する。それをサポートするための方法を考える必要があります。「コンプラのお客さんは1線である」と言われることが一般的によくありますが、私はそうじゃないと思っていて。お客さんではなく仲間です。同じ会社の仲間なのだから、一緒の方向を向いて問題解決していくべきだと考えています。
磯部:
ビジネスの背景やその先にいるお客様を理解するためにも、1線との連携を強化していくためにも、鈴木さんの仰る社内コミュニケーションの重要性を日々痛感しています。

コンプライアンスを楽しむ
PayPay 5 sensesで大切にしていることは?
桑原:
コミュニケーションを大切にすることと、プロフェッショナルとして妥協しないこと。この2つを特に大切にしています。PayPayのサービスは、ビジネス部門、プロダクト部門をはじめ、他の2線部門など多くの仲間と一緒に作り上げていくものですので、コミュニケーションはやはり土台の部分です。
そして、「これちょっと気になるけどまあいいか」といったマインドではなく、気になることは法令の趣旨まで遡り徹底的に考える、何が出来なくてどうやったら出来るのかを突き詰めて考える、ということを大事にしています。
磯部:
部門ごとに価値観として重きを置くところは微妙に違うと思いますが、5つ全てを持っておきたいですよね。プロフェッショナルは大前提として、一番近いのはやはりコミュニケーションですね。
鈴木:
PayPayで活躍できる人は、5 sensesに立ち返り、振り返られる人だと思います。

今のチーム雰囲気について教えてください
磯部:
様々なバックグラウンドを持つメンバーで、総合的な視点が求められるビジネスコンプライアンスを実践しています。 各自が自身の担当する案件を責任もって推進しつつも、ナレッジの蓄積や視点の共有など、チーム内のコミュニケーションがやはり大切です。そのため、立場や役職、社歴を抜きに本音で話すこと。緊張感だけでなく、笑顔で働けるような雰囲気を特に意識しています。
鈴木:
桑原さんと磯部さんは、特に優しさがある人です。ビジネスコンプライアンスチームを立ち上げられると思ったのも、桑原さんと磯部さんがいたからこそ!メンバーへの配慮やコミュニケーションがいい意味でコンプライアンスっぽくない。そういった日頃の関係性が、重要な場面での説得力につながっていると思います。
桑原:
そんなふうに思ってたんですか?
鈴木:
普段は言わないけど、せっかくの機会なので伝えました!(笑)

あなたのチームで働く醍醐味はどんなところにありますか?
磯部:
ビジネスを企画するフロント部署とダイレクトに関わり、検討段階のサービス案に触れ、その実現に積極的に貢献できることがこの仕事の醍醐味です。自身が携わったPayPayのサービスが世に出て、実際に利用者からの反応を目にすると、自分自身の仕事の達成感を感じると同時に、責任の重さも感じます。
鈴木:
メンバーが担当した大きな案件では、リリース時に「リリースされました!やっぱり自分の担当した案件がリリースされると嬉しいですね」とか、障害があると「うわー」とかメッセージが来たりしました(笑)。PayPayのコンプライアンスは案件にガッツリと入っていくので、担当した案件がリリースされた時や、何か問題があった時は自分のことのように一喜一憂します。これまでの経験や社歴に縛られすぎることなく、自分の好きなことに主体的に取り組んでいけるのは当社ビジコンのメリットだと思います。
桑原:
案件を通して多くの人や考えと触れることで、自身の視野や知見もどんどん広がり人間としても日々成長できることも魅力のひとつです。
今後、成し遂げていきたいことやミッションを教えてください。
桑原:
「コンプライアンスを楽しむ」ということ。コンプライアンス的なハードルがあったとしても、一概に「ダメ」で終わるのではなく「こうやればできるんじゃないか」「法の解釈はこうなのでは」など、どうやれば乗り越えられるかを考えるのが面白いと思っています。自分で考えて、できる方法を提案していくことを楽しめる組織にしていきたいです。
磯部:
サービスや会社規模が急速に拡大し、環境の変化が著しい中でも、適切な管理態勢が整備されていることを内外に説明できるように、ビジネスコンプライアンスを貢献度の高いチームに築き上げていきたいです。
鈴木:
私は、日本のコンプラのあり方を変えたいです。コンプライアンスというと、事業とは距離が離れた「専門家集団」で、ルールや義務、前例などで雁字がらめになってしまうイメージがあると思います。大所帯で歴史の長い会社だと、前例に一定程度の答えがあることが多いですが、ここでは業界も会社も歴史が浅いからこそ、幅広い知識をキャッチアップしながら、自分たちで答えを創り出せる。年次などに関係なく意見が出せる環境をいかして、事業に貢献できる組織にしていきたいです。

現在募集中のポジション
※募集状況、社員の所属等は取材当時のものです。