PayPayグループのビッグプロジェクトの舞台裏に迫るProject Storyシリーズ。
本シリーズでは、重要プロジェクトにスポットライトを当て、その裏にあった障壁や各担当者のこだわりなど現場でのリアルなストーリーを、担当者へのインタビューを通じてお届けします。
今回ご紹介するのは、新たにリリースされたPayPayにおける寄付・お賽銭などの機能のリリースプロジェクト。機能の実装にあたっては、同時に「従来の決済スキームをもう1つ生み出すほど大変だった」と口をそろえる、「ビジネスアカウント」という新たな仕組みも立ち上げました。今回、プロジェクトを推進したビジネスアカウントチームのメンバーに、新たな枠組みの構築と現金を超えるユーザー体験創出へ挑んだ過程をお話いただきました!

川口 春香(かわぐち はるか)
事業推進統括本部 マーチャント戦略本部 サービス企画部 プロジェクトマネジメントチーム リーダー
本プロジェクトでは、チームリーダーとして案件全体をリードし、社内のステークホルダーと連携しながらビジネス要件の定義や仕組みづくり、リスク低減策の策定など、リリースに向けたあらゆる基盤・運用ルールなどを策定。

岩下 貴耶(いわした たかや)
事業推進統括本部 マーチャント戦略本部 サービス企画部 サービス企画2チーム リーダー
過去のマーケティング経験を活かし、本プロジェクトにおいては将来のサービスグロースまでを意識したうえで、ユーザー視点に立ったサービス企画や市場への展開方法検討などに従事。

柏 史毅(かしわ ふみたけ)
事業推進統括本部 マーチャント戦略本部 サービス企画部 プロジェクトマネジメントチーム
PayPayアプリ内の集金サービスにおけるミニアプリに関する調整・管理を担当。

礒野 裕江(いその ひろえ)
事業推進統括本部 マーチャント戦略本部 事業推進部 事業推進2チーム
本プロジェクトでは、ビジネスアカウントの基盤構築の要件整理や進行管理、リリース前の受け入れテスト対応などに注力。

藤平 有紀(ふじひら ゆうき)
事業推進統括本部 マーチャント戦略本部 サービス企画部 サービス企画2チーム
入社直後から、本プロジェクトの企画およびお賽銭などの機能を担当。
「PayPay」上での寄付・お賽銭などを実現
PayPayで実現した寄付やお賽銭などの用途で使える機能と、ビジネスアカウントの概要を説明いただけますか?
川口:
寄付やお賽銭などの用途で使える機能は、現金または銀行振り込みが主流だった寄付・お賽銭などを、「PayPay」経由で実現できる機能のことです。送金の流れはPayPay決済と変わらず、お賽銭などで利用する場合は、ユーザーは神社や寺院のコードを読み取り送金します。また、寄付については、オンラインのみの利用となり、寄付先のページから送金手段を「PayPay」に指定すれば利用可能です。いずれも、PayPayマネーのみ利用できます。
「PayPay」での寄付・お賽銭などは、寄付団体などが新たに「ビジネスアカウント」を作成することで可能になります。ビジネスアカウントとは、銀行で言う法人口座にあたる法人向けのPayPayアカウントです。決済加盟店としての登録とは別で、ビジネスアカウント登録いただくことで寄付・お賽銭などの受取ができるようになります。
寄付・お賽銭などの機能を搭載する際の課題は何でしたか?
川口:
日本の寄付・お賽銭などの業界全体で、キャッシュレス化が遅れていることです。寄付などの送金は、モノやサービスの対価が必要ないため送金額の妥当性が見えにくく、マネーローンダリングなど不正行為につながるリスクを最小限にするため入念な対策が必要です。強固なリスク低減策や審査体制構築が必要なうえ、「決済」と「送金(寄付など)」は法的な位置づけも全く別物。対応する事業者は少ないです。
ですが、大手募金団体による根強いニーズがあり、数年ほど「寄付・お賽銭などだけがキャッシュレス化の波に乗れていない」と相談が寄せられていました。募金・お賽銭箱に現金を取りに行ったり、硬貨を数えたり…といった作業負担が大きかったのです。
岩下:
「PayPay」のサービス開始当初から、「寄付・お賽銭などにもPayPayが使えたら」という声は見聞きしており、実現に向けた構想はあったと記憶しています。ユーザーに強く望まれているサービスはぜひ実現したいと思う一方、抱えていた課題をクリアしつつ、どのようにビジネスとして成立させるか。社内で検討が始まりました。

根本の仕組みは違えど、現金を超えるユーザー体験を届ける
プロジェクトを振り返って、いかがですか?
川口:
まず、開発になかなか着手できず苦労しました。ビジネスアカウントの構想は壮大ですが、新しいビジネススキームの構築には大きな開発リソースが必要で、四半期ごとの開発ロードマップにエントリーしては落ちる状況が1年近く続きました。社内でのエントリー時には関係部署を巻き込み、要件定義の骨子を固める必要があります。対象から外れるたびに骨子の見直しを他部署へ依頼しており、ようやくGoサインが出た際には「今度こそ、本当に開発着手するんですか?」と何度も確認されました(笑)。
礒野:
Goサインが出たのちは、まずビジネス要件を固めました。法的な位置づけの違いなどから、従来PayPayが構築していた決済・加盟店管理スキームとは別の管理スキームを準備する必要があり、業務推進・金融犯罪対策室・営業・CSなど多くの部署に協力を依頼。各部門の代表者10名程度と週に2~3回MTGを行い、「ビジネスアカウントの位置づけは?」「加盟店管理の仕組みを有効活用できる点、そうでない点は?」と、ビジネスアカウントの仕組みやルールを定義しました。
藤平:
私は途中からこのプロジェクトに参画したのですが、実は入社前の面接で、新しいサービスとして「PayPayポイントを寄付する仕組み」を提案したんです。入社後、思い描いていたサービスに携われて嬉しかったものの、法律・リスク管理の面で新しい仕組みを創り上げる必要があると知りました。正直、既存システム内へ寄付・お賽銭などの機能を搭載できるだろうと感じていたので「思ったより責任重大だった!」と重責を感じましたが、特に「お賽銭などのキャッシュレス化」という日本人の行動変容につながるサービスを楽しみながら使ってもらえるよう、アンケート調査やインタビューなどを通じて「ユーザーのニーズはどこにあるのか」「どうしたらたくさんの方に愛されるサービスになるか」などを追求しました。

特に大変だったのはどんなことですか?
礒野:
寄付・お賽銭などは決済と異なる法律・ルールのもとで成り立っているので、決済で培ったノウハウが通用しない事例も多かったです。私たちだけでは判断できない事柄も多く、全社横断で多数の部門の知見を借りながら、一つずつ解決策を見出し調整を続けました。
岩下:
一方、仕組みが異なる大変さは、あくまでPayPay側の事情。使用感が決済とは異なる場合、ユーザー視点では「使い勝手が悪い」としか感じません。ですので、ユーザーには決済と同じ体験を提供できるよう工夫しました。例えば、今回の寄付などができる機能は「PayPayが提供する新サービス」とは宣伝せず、「PayPayの新しい機能」と伝わるようWebページやサービス名称を調整。細かな違いではありますが、ユーザーの印象に大きく関わるため、ユーザーファーストを合言葉に社内で慎重に検討を重ねました。
藤平:
寄付と違い、お賽銭などは「本当にキャッシュレス化すべきなのか」と反応が分かれる可能性もあり、社内でも様々な意見が寄せられました。だからこそ、PayPayにおける決済とのユーザー体験共通化は意識しつつ、日本の伝統を損なわず、日本人に愛されるUI/UXを追求しました。結果、コードをスキャンする工程はPayPay決済と共通化させ、送金時はお財布から小銭を賽銭箱に入れる場面をイメージした送金アニメーションを挿入。現金によるお賽銭などの良さは維持しつつ、おそらく日本人にとって初めてとなる「キャッシュレスお賽銭」を体験してもらいたいです。
柏:
寄付やお賽銭などが使用できる機能で活用するミニアプリ開発・調整の難しさは、寄付需要が特定の時期に集中しており、リリース期限を死守する必要があったことです。ユーザー体験をそろえつつ、リリースまでのスケジュールを1時間単位で管理して対応しました。ですが、PayPayのメンバーは全員がプロフェッショナル。「彼らに任せておけば大丈夫」「必ずリリースに間に合う」という安心感があり、ユーザーニーズに応えられるタイミングでのリリースに成功しました。サービス全体としても好調な滑り出しを記録しています。

寄付・お賽銭なども当たり前のように「PayPay」で実現する将来を目指して
仕事をする上で大切にしていることはありますか?
川口:
PayPayグループ全体で大切にしている5つの価値観であるPayPay 5 sensesのうち、「Work for LIFE, or Work for Rice – What is your real purpose? -」「Ego is not welcome, Communication is necessary」です。「キャッシュレス化の遅れによる課題を抱えた募金団体のニーズに応え、価値を提供する」ことだけにフォーカスし、プロジェクトを前に進めるため丁寧なコミュニケーションを心がけることで、ステークホルダー間の足並みが揃いました。
岩下:
「SPEED is our bet on the market」です。PayPayが急成長できたのは、やると決めた時の判断と行動が速いから。じっくり考え抜く時間も不可欠ですが、まずやってみる意識を大切に、日々の業務に取り組んでいます。
柏:
「Be Sincere To be Professional」です。前例のない新サービスを作り上げるための最適解は何かを関係者全員が考え、多くの課題を解消するために一人ひとりが責任持ってやり遂げたことで、ビジネスアカウントを無事リリースできました。
礒野:
「Ego is not welcome, Communication is necessary」を大切にしています。PayPayは多様なバックグラウンドのメンバーが集う恵まれた環境です。今回のプロジェクトでも、多様な視点から様々な意見が飛び交うことでサービスが磨かれ、安全性と利便性を両立できたことが成功に繋がりました。
藤平:
礒野さんと同じく「Ego is not welcome, Communication is necessary」です。困難な課題が発生しても前向きな姿勢を持ち、常にワンチームで取り組むことができました。全員が自分の役割に責任感を持ち、真摯にユーザーやサービスに向き合っていたと感じます。
今後、成し遂げていきたいことやミッションを教えてください
川口:
小銭がなくても寄付が可能になれば、ハードル低下による寄付のさらなる促進が期待できます。諸外国とは社会や価値観の違いがありますが、本プロジェクトを通じて寄付を盛り上げ、日本の寄付市場拡大に貢献したいです。

藤平:
お賽銭などのキャッシュレス化を通じ、ユーザーには新しいお賽銭などの体験を提供しつつ、神社や寺院の皆さん向けには日々の現金管理などにかかる時間や手間を減らし、参拝者との対話や交流にあてられる時間を増やしたいです。世の中にお賽銭などのキャッシュレス化を普及すべく、さらにサービスを改善していきます。
柏:
今後はビジネスアカウントを使った新サービスも検討しています。PayPayがユーザーニーズを大切にすることでグロースを達成したように、新サービスも顧客ニーズを第一に創り上げていきます。
礒野:
「PayPay」はすでに日本のインフラです。新サービスでユーザーをアッと驚かせるよりも「気付いたらPayPayでできることが増えていた」という世界を作り、当たり前にできることの範囲を広げていきたい。その足掛かりとして、ビジネスアカウントをより便利なサービスにするべく、機能改善を続けていきます。
最後に、読者へのメッセージをお願いします!
岩下:
「PayPay」はユーザー数・加盟店数ともに日本トップクラスのサービスですが、サービス開始からまだ6年程度。ビジネスアカウントのように未完成な部分も多く、自分の働き次第で社会やユーザーの価値観・行動を変えられ、かつ与えた影響を肌で感じられる点が魅力です。
柏:
「PayPay」のサービスを創り上げているのは、決済を担う社会インフラとしての責任を背負いつつ、ユーザー体験向上のために全く新しいサービスや機能を生み出し続けてきた幅広い分野のスペシャリストたち。確かなスキルを持ち、真面目さと柔軟さを併せ持つ方は、PayPayで活躍できると思います。
藤平:
チャレンジ精神があり、柔軟に対応できる方がPayPayに向いていると感じます。また、「PayPay」はとにかく幅広い領域と接点のあるサービスなので、世の中のあらゆることにアンテナを立て、自分ごととして考えられることができる方なら、きっとPayPayで楽しく働けるはずです。
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