リーダーインタビューは、PayPayグループトップの人柄や考え方を紹介するシリーズです。今回は、PayPayカード株式会社 テクノロジー統括本部 グロースプロダクト本部 本部長の三上 健太さんにお話を伺いました。
三上 健太(みかみ けんた)
PayPayカード株式会社 テクノロジー統括本部 グロースプロダクト本部 本部長
2015年ヤフー株式会社(現LINEヤフー株式会社)に入社。PayPayカードの前身であるYahoo! JAPANカードがサービスインするタイミングに決済・金融部門でエンジニアリングに携わり、サービスグロースを経験。その後、PayPayカードの立ち上げに携わり、プロダクト組織への組織改編に合わせて2023年にPayPayカード株式会社へ転籍。テクノロジー統括本部 プロダクト1本部長を経て、2025年4月より現職。
内製化がもたらした“技術の自由”
2015年にYahoo! JAPANカードの開発に携わって以降、「決済×テクノロジー」という領域に身を置いてきました。この10年を振り返ると、技術組織として最も大きな転換点は、基幹システムの内製化でした。
外部委託ではスピードも品質も限界がありましたが、内製化によって、自分たちの信じる最善を選べるようになりました。将来の負の遺産を残さないように、どうすればスケーラブルに設計できるか。開発者が自ら問い、最良の判断を下す。その文化が根づいた瞬間、PayPayカードのテクノロジー組織は本当の意味で自走を始めました。
もちろん、すべてが順風満帆だったわけではありません。内製化の初期は、ドキュメントも仕組みも整っておらず、システムの内製化こそ済んでいたものの、業務知識が社員に十分に根付いていなかった。そのため、トラブルが発生しても自分たちで解決できず、想定以上に時間を要することも多く、次々と起こる問題に皆が疲弊していました。けれど、そうした一つひとつの積み重ねが「自分たちのシステム」を作るという意識を育てた。あの頃の泥臭い経験こそが、今のチームの底力になっています。

ビジョン:最適な“支払い”をいつでも
私たちグロースプロダクト本部が目指すのは、単なるカード会社の進化ではありません。「最適な“支払い”をいつでも。おトクで安心なPayPayライフを。」 この言葉が、すべての原点になっています。急な出費にも即対応でき、ポイントの還元に納得し、安心して使いすぎを防げる。そんな、支払体験を設計したい。開発・デザイン・マネジメントなど5部門が一体となり、判断軸を「ユーザーにとって最適かどうか」にフォーカスしています。
このビジョンは、チーム全員の羅針盤です。数百名規模の開発体制の中でも、私たちは必ず「なぜ作るのか」に立ち返ります。このフレーズが、私たちの技術判断と組織の一体感を支える核になっています。
数字で語る“グロース”の仕組み
私たちはグロースを感覚で語りません。ビジネスKPIとプロダクトOKRを接続し、「数字で見る文化」をつくりました。Objective(目指す姿)は「最適な”支払い”をいつでも。おトクで安心なPayPayライフを」。その下に、「獲得」「ライフサイクル」「収益」という3つのドメインを設定し、リボ・分割の利用率や新規申込み数、メインカード化率など、事業成長と密接に連動する指標をチーム単位で追っています。加えて、これらのビジネス指標とは別に、NPSやCSAT、アンケートなどのユーザーからの直接的なフィードバックも取得しています。事業者視点の数字だけでなく、ユーザー満足度の指標もバランスよく並行して改善することで、理想のObjectiveに近づけると考えています。
これが、PayPayカードにとってのグロースです。OKRによって、エンジニアは自分の仕事のインパクトを定量的に把握できるようになりました。「自分の書いたコードが、どのくらいユーザー体験を変えたのか」。その手触りが、日々のモチベーションと誇りに繋がっています。
細部までこだわり抜くエンジニア組織を目指して
目指すのは、細部までこだわり抜くエンジニア組織です。俊敏に動き、変化に対応しながらも、芯のある判断軸を持つ。その仕組みの一例として、毎週実施しているテックディスカッションというイベントがあります。開発チームが設計方針を持ち寄り、将来の負債や運用コストを多面的に議論します。その場ではリーダーもメンバーも関係なく、全員がシステムに責任を持って発言し、より良い、妥協のないものにブラッシュアップしていきます。自分たちで開発し、運用までするから後の自分たちが苦労しないように妥協せずにとことん議論する、内製化によって組織の思考が変化してきたからこそ生まれてきたカルチャーだと思います。

ゴールがないからこそ、ずっと面白い
PayPayカードのプロダクトにゴールはありません。だからこそ、立ち上げのときも、今このときも、来年再来年も、どのフェーズでもずっと面白い。
課題も改善の余地も、まだまだ山積みです。ここまで来たのに、まだこんなにやることがあるのかと途方に暮れることもあります。そして当時ベストな選択をしたと思っても、時間の流れとシステムというものは残酷で、平然と負の遺産を突きつけてきます。だからこそ、次々と新しいチャレンジが生まれます。今までのスキルや発想だと成し遂げられなかったことを成し遂げないといけない。それをエンジニアの手で一つずつ形にしていく。仕組みも文化も自分たちで作れるこの余白こそが、最大の魅力です。
私たちの開発組織は、業績に直結しています。エンジニアリングの成果が、そのまま数字として会社を動かす。これほど責任と手応えを感じられる環境は、そう多くないでしょう。PayPayユーザー7,100万人(2025年10月時点)のうち、カード会員はまだ1/5。この伸びしろをどう埋めていくか。それを考え、実装できるのがいまの私たちの立ち位置です。
AIと共通基盤で、次のスケールへ
次の3年は、AI × 共通基盤 × One Teamという軸でスケールしていきます。AIを活用して作業を減らすのではなく、一人ひとりの生産性と創造性を高める。コーディング支援や自動テスト、ドキュメント整備など、日常的にAIを使う文化を根づかせることを目指しています。
さらに、基幹システムの内製化が完了したばかりですが、中では早速次のフェーズのリアーキテクチャ(再設計)が進んでいます。これにより、スケーラブル・スピード・安定性・コスト最適化を同時に追求しています。AIとの両輪で、組織を「より速く、より賢く、より柔軟に」していきます。
AIが進化しても、人にしかできないことがあります。それは、「チャレンジする力」と「こだわり抜く姿勢」です。AIがどれだけ進歩しても、それを使って今以上のアウトプットを生み出すのは人間だと思います。だからこそAI時代でも、エンジニアの情熱と感性が輝く。私はそう信じています。

メッセージ
私はリーダーとして、「任せて、見守る」ことを常に意識しています。ときにはプレッシャーを与えることもありますが、それはメンバーの中に眠る力を引き出すためです。成長は、快適さの外側にあります。壁を乗り越えた経験こそが、自信と実力を育てる。その結果、メンバーの成長が見えた時には、よく配下マネージャーと「〇〇さん、成長してきたね」と話します。同時に、組織全体の変化にも繋がっている気がして、とても嬉しくなりますね。チームを動かす原動力は、信頼です。「任せ、託し、信じる。」この信頼の循環がある組織は、どんな変化にも耐えられる。
グロースプロダクト本部には、国籍も経歴も多様なメンバーが集まっています。それぞれが違う強みを持ち、互いに刺激を与え合う。その多様性を力に変えることが、私の役割です。そして、未完成だからこそ挑戦できる環境を、楽しめる仲間を求めています。変化をポジティブに捉え、挑戦にワクワクできる人。そんな方と一緒に、未来を作っていきたい。
そして、私たちが掲げる合言葉は ”Think bold, Move fast, and Have fun!”です。
大胆に、速く、そして楽しむ。この姿勢を忘れずに、技術の力で“支払い”の未来を変えていきます。その未来を、一緒に創っていきましょう。
