7,500万人基盤で「日本一のデジタル生保」を創る ─ 2人のアクチュアリーが挑むPayPayの金融イノベーションと非連続な成長

2026.10.15

PayPayグループで働く圧倒的プロフェッショナルに迫るProfessionalsシリーズ。今回は、金融事業統括本部 保険事業開発部で「日本一のデジタル生保」の立ち上げに挑む奥谷 翼さんと吉良 晋平さんに話を聞きました。大手の伝統的生保で積み上げたキャリアの延長線を自ら抜け出し、PayPayという未完成でハイスピードな環境へ飛び込んだ理由、異分野のプロフェッショナルとともに描く「保険の新しい未来」、そして未踏のフェーズで掴んだ「非連続な成長」について伺いました。

奥谷 翼(おくたに つばさ)

PayPay株式会社 金融事業統括本部 保険事業開発部 事業企画リーダー

2010年、大手生命保険会社にてキャリアをスタート。決算数理業務等に従事後、複数の損害保険会社にて傷害・医療分野や火災保険のプライシング業務、外資系損害保険会社にて数理部長等を歴任し、バリュエーション業務や再保険業務を統括。2024年9月、PayPayへ入社。保険事業開発および管理体制構築を牽引する。日本アクチュアリー会正会員。

吉良 晋平(きら しんぺい)

PayPay株式会社 金融事業統括本部 保険事業開発部 事業企画

2010年、大手生命保険会社に入社。15年間にわたり一貫して商品開発や財務諸表作成、経営管理等に従事。生命保険商品の企画・数理検証からシステム要件定義・募集資材作成まで手掛け、数多くのヒット商品開発をリード。2025年4月、新しい金融サービスの創出を目指しPayPayへ入社。異業種コラボレーションや新規付帯保険などの新規事業開発を牽引する。日本アクチュアリー会正会員。

保険業界の「型」を抜け出した理由

吉良:
私は大手生命保険会社に入社してからの15年間、ずっと生命保険の商品開発や経営管理に携わってきました。手掛けた商品の累計売上高を合わせれば、10兆円規模です。アクチュアリー(*)としての試験もパスし、部下の育成も任される立場になり、客観的に見れば安定のキャリアでした。しかし、サラリーマン人生の折り返し地点を迎えた時、「このまま1つの領域にとどまることが、本当に自分らしいキャリアなのだろうか。より大きなスケールで新しい価値を創り出したいのではないか」とふと自問したんです。

転職を考え始めたとき、すでにPayPayで活躍していた同期の奥谷さんへ今後のキャリアについて相談したところ、「うちで一緒に立ち上げないか」とその場で声をかけられました。当時のPayPayには生命保険事業がまだ存在しておらず、銀行・証券・損保が揃っている中で生保だけがない。「それなら、自分が1から生保事業を立ち上げればいいのではないか。日本最大級の決済プラットフォームで、世の中にまだ存在しない金融サービスを創れるなら、これ以上面白い舞台はない」と腹が決まりました。

*アクチュアリー:確率や統計などの高度な数理手法を用いてリスクを分析・評価し、保険商品の開発や経営管理を担う数理のプロフェッショナル。

奥谷:
私は大手生命保険会社で5年ほど決算業務を経験した後、損害保険業界へ移り、外資系損保や国内ネット損保、外資系損保の数理部長などを経て2024年にPayPayへ入社しました。PayPayの金融事業は子育て世代の社員も多く、各自がフレキシブルに時間を作りながらバリバリ働いています。そして何より魅力的だったのは、圧倒的なエネルギー感でした。異分野の優秀な人材が続々と入社してくる環境でもあり、会社全体で「新しい金融インフラを創るぞ」という圧倒的な熱量に溢れていました。

アクチュアリーという職種は、強固な専門スキルを持っています。だからこそ、万が一新しい環境に挑戦して失敗したとしても、おそらく元のアクチュアリー業務に戻ることができる。本来、最もリスクを取って挑戦できる立場にいるのがアクチュアリーなのだと考えています。くすぶっているくらいなら、圧倒的な変化がある場所に飛び込んだほうが絶対に成長できる。吉良さんを誘った時も「ダメなら戻ればいいんだから、一緒に面白いことをやろう」と伝えました。

PayPayならではの「圧倒的スピード」と「本質的なユーザーファースト」

吉良:
PayPayに入社して最も衝撃を受けたのは、「ユーザーファースト」という言葉の解像度と密度の違いです。保険会社も「お客様第一」を掲げますが、そこでのユーザーファーストとは「健全性を保ち、確実に保険金を支払うこと」や「石橋をたたいて渡るような従来踏襲型のサービス設計」という観点が中心になりがちです。

一方、PayPayのユーザーファーストは一切の妥協がないと言えるほど徹底的です。「ユーザーが日常のどんなシーンで困っているのか」「どうすれば極上の使いやすさを提供できるか」という本質的な課題からすべてが逆算されます。

私が担当した「PayPay加盟店様向けのオリコカード連携(加盟店向け傷害保険自動付帯)」プロジェクトがまさにそうでした。クレジットカードに付帯する保険といえば、海外旅行保険などが一般的ですが、PayPay加盟店様との日々の対話やヒアリングを重ねる中で見えてきたのは、「日常の業務中の怪我や事故への備え」というリアルなニーズでした。「だったら、加盟店様が本当に困っているリスクをカバーする傷害保険を自動付帯しよう」と企画しました。法人向けクレジットカードに、傷害保険を自動付帯するということは、既存の保険業界の常識にはない発想だったため、パートナー企業様との調整や枠組みの構築には独自の工夫が必要でしたが、異分野の知見を融合させることで、これまでにない利便性の高い仕組みとして無事にローンチへ漕ぎ着けることができました。

奥谷:
企画から立ち上げまでのスピード感もPayPayの大きな強みです。強く印象に残っているのは、PayPay Reinsurance(キャプティブ)の立ち上げです。入社した瞬間に「あと3ヶ月で会社を立ち上げるからよろしく」と言われ、元受保険会社と契約書を作成し、リスク管理部と共に再保険引受リスク管理体制を構築して、期日通りに立ち上げを完了させました。入社3ヶ月でそこまで完遂できた体験は、非常にエキサイティングでした。

さらに、キャプティブ立ち上げ直後に「グループ内のある保険契約をキャプティブで引き受けたら面白いのでは」と社内でボソッと言ったら、「じゃあ、奥谷さんが自分で交渉してやってみて」と任されました。大企業であれば、複数部署に跨がり、年単位の検討を経るような案件です。それがPayPayでは、アイデアを出した人間が圧倒的なオーナーシップを持ち、半年後には実際のサービスとして稼働している。「自ら発案し、責任を持ってやり切る」というシンプルなカルチャーが徹底されているんです。

異分野のプロと協働し、数理を「翻訳」する快感

吉良:
PayPayで働くもう1つの醍醐味は、アクチュアリーという専門領域の枠を超え、まったく異なる領域のプロフェッショナルたちと協働できる点です。1時間ごとに、デザイナー、プロダクトマネージャー(PdM)、エンジニア、カード会社の担当者など、異なる専門家と本音で議論を交わします。

前職の生保時代は、自分の部署内で論点を徹底的に整理し、煮詰めてから他部署へ相談する場面が多くありました。しかしPayPayでは、アイデア段階からストレートに自分の思いをぶつけます。「自分はこういう世界を作りたい。あなたは何ができますか?」と互いのスキルを持ち寄ることで、化学反応が起き、想像もしなかったプロダクトが生まれる。私自身は、異分野のプロと背中を預け合って事業を創り出す環境を選んだ結果、何倍も非連続な成長を実感できています。

「確かなガバナンス」と「最速」を両立させるプロフェッショナリズム

奥谷:
経営陣や他部門とのコミュニケーションにおいても、アプローチが変わりました。PayPayには保険が専門ではない経営陣やメンバーが多数います。単に保険ならではの仕組みや難解な数理用語を伝えるのではなく、PayPay内ですでに共通言語化している銀行・証券・カードの規制やロジックに置き換えて要約・翻訳する。「銀行のこの考え方は、保険ではこう表現されます」と伝えることで、意思決定のスピードを劇的に上げることができます。

PayPayは「最速」を求めると同時に、極めて厳格なガバナンス体系を備えています。新サービスのリリースや審査の場では、緻密なリスク検証という「強力なブレーキ」を踏みながら、同時に「最速でアクセル全開」で走ることが求められる。組織の誰かに倫理観やリスク意識をカバーしてもらうのではなく、事業会社では自分自身が専門家としての矜持(プロフェッショナリズム)を持ってコントロールする。ブレーキとアクセルを同時に踏みこなす感覚こそが、PayPayで事業開発に携わるアクチュアリーとしての大きなやりがいです。

7,500万人基盤で「日本一のデジタル生保」を確立する

奥谷:
2026年6月に発表したT&Dフィナンシャル生命の子会社化が実現すれば、7,500万人(2026年8月時点)のPayPayユーザーに対してデジタルの生命保険商品を直接届ける環境が完成します。日本の生命保険はその大部分が対面販売を中心としていると言われておりますが(※公益財団法人生命保険文化センターの調査等でもオンライン等の割合は5.1%程度にとどまるとされています)、私たちはアプリ上で生命保険に加入できる「デジタル生命保険会社」の確立に挑戦します。非常に難易度は高いですが、ユーザーに利便性のあるサービスを届けるために全力で取り組みたいと考えています。

また、PayPayが目指すのは、人生を通じてワンストップで支える金融プラットフォームです。決済、銀行、証券に続き、生命保険という最も顧客と長期で深くつながる領域が本格始動します。従来の保険は、「加入する時」と「万が一の保険金請求の時」しか接点がありませんでした。しかしPayPayなら、日常の決済やアプリ利用を通じて、常にユーザーのライフステージに密着した安心を提供できる。「日常的に守られている実感」を持てる新しい保障の形を、私たちが主体となって構築していきます。

吉良:
私たちがPayPayで成し遂げたいのは、単なる売上規模の追求ではありません。「保険もPayPayで利用するのが当たり前」という、世の中の既成概念そのものを変える世界観の創出です。

これまでの実績にとどまらず、新たな環境へ挑戦することは大きな刺激に満ちています。未完成な組織だからこそ、自分の手で仕組みを創り、巨大なインフラを動かす手応えが得られる。「自分の専門性を武器に、世の中にない金融サービスを創りたい」「攻めの事業創出に挑みたい」。そんな強い熱量を持ったプロフェッショナルと一緒に、日本一のデジタル生保を創り上げていきたいと考えています。

※募集状況、社員の所属等は取材当時のものです。

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