今回のプロフェッショナルは、ビジネスの最前線で発生する、複雑かつ難解な業務オペレーション課題の整理と企画、さらに、そうした課題をシステム企画に落とし込むべくプロジェクトマネジメントを行う、企画と開発の二刀流プロフェッショナル、飯田 和昭 (はんだかずあき)さんを紹介します。

飯田 和昭(はんだ かずあき)
企画と開発の二刀流
2019年10月よりPayPayに勤務。中国大連での大規模業務センター運営、ソフトバンク光などのプロジェクト経験を生かし、オぺレーション本部で加盟店審査企画、加盟店基盤企画などを担当。一方のエンタープライズエンジニアリング部においてはシステム企画担当としても活躍する2つの顔をもつ。
ビジネス視点の課題を、開発視点で解決する
飯田さんの所属チームとお仕事内容を教えてください
2つのチームで仕事をしています。主担当はオペレーション本部業務企画部で、ここでは加盟店管理や審査に関わる業務企画をしています。もう一方のエンタープライズエンジニアリング部開発チーム(以下、EE)では、システム開発者とともに開発要件の整理、開発をしています。
企画と開発、2つの役割はどう関連しているんですか?
例えば加盟店にかかわる業務でいうと、加盟店審査をスムーズに行うための審査基準策定が必要です。営業活動が開始する前から営業チームと連携して審査基準を固め、審査に必要な情報をいち早く整える。ここはオペレーション本部での企画業務の領域です。
政府によるキャッシュレス還元施策などが行われると、PayPay加盟店の申込数が一気に増えるので、加盟店審査数も大きく膨らみます。特に加盟店申込後の途上審査は、日に数千件単位での審査処理が必要ですが、これを人力で行っていたら、とてつもない業務量になります。そこで僕たちはあらかじめこの状況を予測して、事前に「ウェブクローリングシステム(※)」の導入を進めておいたんです。
その先行判断が功を奏して、システムが取得した情報を使った自動チェックが可能になり、今はこの業務をわずか3~4人でこなせています。このシステム開発はまさにEEでの仕事で、非常に短期間で行いました。
当然、全ての開発を事前に行うのは工数的にも難しいのですが、サービスを止めないために開発がマストなもの、取りあえずは手作業で乗り切れるもの、などの判断が迫られたときに、ビジネス視点、開発視点、両者の視点でスピーディーに仕分けを行えるという意味では、僕が2つのチームの橋渡しをできる意義は大きいかもしれません。
(※)インターネット検索を自動で行うシステムのこと
今お話しいただいたような、2つの視点で見てプロジェクトをマネジメントするくスキルはどうやって身に着けたんですか?
僕は去年ソフトバンクからPayPayに出向してきたんですが、それまでは中国大連のソフトバンクのBPOセンター、山東省威海や蘇州などのBPOセンター立ち上げなどに関わってきました。ある時期から、BPOを管理する日本人は僕ひとりで、あとはすべて中国の現地スタッフという環境で、どうやったらオペレーションがスムーズに回せるか、どういうことを判断しなくてはいけないかなど、数百人規模のセンター運営で培った経験が、今の業務に生かされています。
ただ、PayPayは圧倒的に事業スピードが速いので、そのスピードの中で最善の手を模索して対応していくというのは、初めての経験です。うまく説明できないのですが、このスピードの中で最善の手を考える、それも、自分だけじゃなく周りのメンバーと「発想」しながら最善の手を打っていく、というのがとても魅力的です。
飯田さんが魅力的に感じたというPayPayのスピードについて、もう少し詳しく教えてください。
ソフトバンクも事業スピードが速い方だと思いますが、PayPayは輪をかけて速いんです。PayPayのスピードだと、何カ月も前から事業の詳細が確定していることはほぼないので、直前に決まったことにいかにスピーディーに対応するかが勝負です。
通常は、企画が承認され、アプリ開発の目途が立ってはじめて、スケジュールの目算が立ちます。そこからビジネス側でルールや建付けを決め、あわせて業務サイド、営業サイドも必要な準備をしていきます。EEもプロダクト外のところのシステムをもっているので、必要な改修、新規開発を事業側と同期しながら進めていくんですが、かっちり固まったものがあって、レールの上に乗っかって物事をいろいろ準備していくというスタイルではないので、ある程度、「うーん、この範囲くらいのところまで準備しておいたらいいのかな」というのを事前に想定しつつ、猛スピードでやるわけです。
大連時代も、体制準備や業務量での苦労はあったにせよ、こんな風に企画にふりまわされることはそこまでありませんでした。ですから、以前よりも今の方が難易度は高いはずなのに、やっていて面白いんです。意思決定にも時間がかからないし、事業スピードがとにかく速い。どんどんコミュニケーションをとってものごと前へ進めていこうという、という思いがみんなにあるので、事業展開が早くてきついと思うより、楽しいと思う方が強いんです。先がけてイメージを描く。不確定要素の中から創り出す。そこがすごくおもしろいですね。
そこまでスピードが速いと、事前準備をしようにも難しいところもあるのではないですか?
たしかに難しくもありますが、「これは間違いなく来るだろう」という心構えと、最低限の体制だけはもっておかないと、何かが始まる段階で対応が間に合わず、加盟店や営業担当者にも迷惑をかけてしまいます。
そこで、常に営業サイドとコミュニケーションとりながら、いつぐらいに、どのくらいの体制が必要かをきっちり見極める必要があります。スピードにもしっかりついていって、サービスを止めないようにすることを最低限のラインだと考えています。
EEでの業務についてもう少しお話を聞きたいのですが、ご自身でシステムの開発もされるんですか?
実はプログラムはまったく書けないんです(笑)。
開発者というよりは、プロジェクトマネジャーとか、ビジネスアナリストみたいな立ち位置で仕事をさせてもらっています。進行管理とか、どういったものをつくらなきゃいけないのかなどを、営業など周辺部門との合意をとりながら進めていかないと開発もうまく進まないので。そういったところを担っている感じですね。
開発をしない開発メンバーということで、エンジニアとの関係で工夫していることはありますか?
僕よりも技術的知識の豊富な方はたくさんいらっしゃるので、僕は、どういうものを作らなきゃいけないのかの大前提の整理や、どう体制を作るのか、スケジュールはどうするのかなど、開発以前のところを担って、それを明確にするようにしています。十分できているかどうかはわかりませんが、最終ゴールとは別に、目に見えるショートゴールはここだよ、というところをきっちり示すようにもしています。それがないとうまくいかないので、こと開発に関しては、その部分を明確にしていくよう工夫をしています。
また、どの仕事でも同じかもしれませんが、メンバー間の課題や、どうしても対処できない課題も出てきます。そんな時、違うやり方ではダメなのか、ほんとにそれが必要なのかなど、エンジニアとは異なる視点で検証し、確実にクリアしていくようにしています。
「出社しない」が当たり前の中、たまの出社でメリハリを
WFAで、在宅中心の働き方になって、タスクやスケジュール管理、コミュニケーションなど、今までは当たり前にできていたことが難しくなったりはしていませんか?
最初は、やはりそこがすごく課題になりましたね。
たとえば開発業務だと、横の人にちょっと聞くとすぐに解決できるようなことも往々にしてあります。でも今はそれを十分にやれない。いくらオンライン朝会などでコミュニケーションをとっていたとしても、なかなか解消しないというか、これまでと同じにはできないことがあります。
今は原則出社をしていませんが、可能な時は、みんなで集まって解決しよう、スケジュール引きなおそう、という週1回、月1回の出社などは、採り入れていきたいと思っています。開発メンバー同士、直接顔を合わせたことがないこともまれにあったりするので、一度くらい顔を合わせておくと、そのあとのコミュニケーションが活性化して、うまくいくこともあると思います。
そういう意味では、出社が当たり前だったころより、むしろ今の方が目的意識をもって出社しています。たまっている課題をいっきに解決したり、その場でみんなでスケジュールを見直して決定するなど、出社にもメリハリがつくようになり、コロナ禍の収穫も得ました。
自分ひとりでやれないことも多い。だから積極的にサポートしあう、前向きな仲間たちと一緒に。

そのほかにも、周囲とのコミュニケーションで気を付けていることはありますか?
PayPayは事業スピードが速いので、自分ひとりでやれないことも多いと感じています。自分のチーム、周りの部署の方、パートナー企業の方たちにもいろいろ協力していただいていますし、反対に、自分がサポートできるところは積極的にサポートする、そんな協力関係をもちたいと思っています。僕が所属している2つの部門の架け橋もそうですね。
最後に、飯田さんから見たPayPayの良いところを教えてください!
PayPayに集まっている人はみんな、「もっとやりたい」という気持ちを常に持っていて、一生懸命、前向きに取り組んでいます。カルチャーもオープンだし、フラットな環境なので仕事をしていて楽しいですね。
そういう文化が好きだからこそ、PayPayで仕事をするのが楽しいのかもしれません。
飯田さん、とてもすてきなお話をありがとうございました。
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編集:az (PayPay Inside-Out編集部)
※社員の所属等は、取材当時のものです。>