世界約50カ国の国と地域から集まったPayPayグループの個性豊かなプロダクトメンバーたちの声を通して、モノづくりへの姿勢や雰囲気をダイレクトにお伝えするTech Talksシリーズ。
今回は、スマホに搭載されている標準カメラでPayPayのコードを読み取った際、直接決済が可能になる機能の実装に携わったプロジェクトメンバー3名に、リリースの裏側を伺いました。

デルーク あかり(Akari)
Product統括本部 Payment Product本部 プロダクトサービス部 Product Operationsチーム
小学校の教員に従事した後、複数のスタートアップでPMを経験しました。日本を代表するサービスのプロダクトマネジメントに携わりたいという想いから、2024年5月にPayPayへ参画しました。

伊藤 優花(Yuka)
Product統括本部 Payment Product本部 プロダクトサービス部 PMOチーム
メガベンチャーでCS領域に携わった後、通信業界でプロダクトの企画を担当しました。プロダクト制作により深く携わりつつ、世界一のフィンテック企業を一緒に目指したいと考え、2023年7月からPayPayで働いています。

Chelsea Wang(Chelsea)
Product統括本部 Payment Product本部 Technology部 CoreApp & Growth & Prod Ops QAチーム Product Ops QAユニット
中国出身のChelseaです。キャリアでは一貫してQA領域に携わり、5年ほど前に来日して日系企業で働き始めました。ユーザー体験の向上にフォーカスできる環境を求め、2023年11月にPayPayへ参画しました。
“過去の痛み”を乗り越え、ユーザー体験向上にチャレンジ
今回のプロジェクト概要とミッションは?
Akari:
スマホに搭載されている標準のカメラ機能を使って街中のPayPay決済コードをスキャンした際、決済をほぼ1ステップで実現するための機能開発を行いました(特許出願中)。実は、従来のPayPayでは、PayPayアプリ以外のコードリーダーを使って決済コードを読み取った場合、PayPayのサービスサイトへ遷移する仕様でした。ユーザーは再度PayPayを起動して決済する必要があり、正直に言えば不便でした。

スマホの標準カメラで決済できなかったことを初めて知りました
Chelsea:
2018年にPayPayのサービスが立ち上がった直後、一時的に標準カメラを使った決済に対応していたこともありました。ですが、支払先の誤りや全く別のサービスが立ち上がるなどの不具合が発生したため、PayPayアプリ内からのコード読み取りに限定して対応していました。
Yuka:
とはいっても、ユーザーとしては少しでもPayPayを便利に使いたいはず。開発部門から「標準カメラを使った決済機能を再開させられないか」と要望が上がり、個人的にも不便を感じることが多かったため、ぜひ実現したいと思いました。再開にあたっては、過去に発生したインシデントに対する再発防止策を講じ、失敗を決して繰り返さないことを証明する必要がありました。
「私も欲しい」という想いが支えになり、決済までの時間を60%以上削減
プロジェクトにおけるそれぞれの役割を教えてください
Akari:
私はPMとしてプロジェクト全体を管理したうえで、過去のインシデント原因の特定や再発防止策の検討、社内関係者への連携などを担当しました。行った業務は幅広く、経営陣への説明やプレゼンはもちろん、プレスリリースの作成支援や加盟店に対する周知、ユーザーの皆さまへのお知らせなど、様々なチームと協力して広報に近い業務にも従事しました。
Yuka:
私はPMOとして、Akariさんが担うインシデント詳細の特定や、再発防止策の設計を支援しました。過去の失敗が影響し、今回は通常の機能リリース以上に厳しい社内のチェック体制が敷かれていたため、失敗を繰り返さないための対策はもちろん、対策が正しく機能し、決して再発しないことを理論立てて説明する役割も担いました。
Chelsea:
QAの立場で、標準カメラを使ったコード決済が正しく動作することを確認するのが役割でした。機能自体の動作を検証する機能テストはもちろん、実装によって他の機能やPayPayアプリに想定外の影響が出ていないかを検証するリグレッションテストも行い、あらゆる動作を徹底的に検証しました。

一番チャレンジングだったポイントは?
Akari:
過去インシデントの原因特定や再発防止策の検討です。ですが、私がプロジェクトにアサインされたのは入社2か月の時期。業務自体が右も左も分からない状況下、当時の関係者を人伝いで探し出し、積極的にコミュニケーションを図って情報を集めました。支えになったのは「業界でも対応例が見当たらない機能を実現できる!」というワクワク感です。個人的に様々なコード決済アプリで同じ動作を試しましたが、標準のスマホカメラから直接決済できるアプリはありませんでした。
最終的に、過去のインシデントを回避するためには、2つの対策が有効だと判明しました。1つは、スマホカメラによるスキャン後に遷移先としているランディングページが、過去の決済情報と誤認されないようにすること。もう1つは、アプリ起動の仕様を変更することです。この2点に対処したことで、過去の問題を防げるようになりました。
Yuka:
過去の失敗を踏まえた、懸念の払拭が大変でした。ユーザーの皆さまに一度ご迷惑をおかけした機能のため、当初の想定より多くの方から懸念が寄せられ、関係者に再発が起こり得ない根拠をしっかりと示す必要がありました。インシデント情報の収集や設計書の作成はAkariさんメインで進めていただき、私は上記の再発防止策を社内の関係者や経営陣にご納得いただいたうえで、ユーザーの皆さまにも誤解を与えないUIや説明内容を設計するため、議論を重ねました。
具体的には、社内での説明時に必ず技術的な根拠を示しながら話を進め、発生しうるインシデントの可能性を一つひとつ書き出し、それぞれに対策を明記しました。想定される質問をAkariさんやビジネスメンバーと書き出し、UIの説明時はChelseaさんが作成したデモ画面を見せながら、実装後の具体像を示しました。懸念払拭の道のりは険しかったですが、いちユーザーとしてPayPayで標準カメラから直接決済したいと思った経験があり、自分のためにもこの機能を何としても実装したいという強い意思がモチベーションになりました。

Chelsea:
想定しうるユースケースが多岐にわたったことです。「標準カメラで決済コードを読み込む」というと単純ですが、ユーザーの環境は様々です。AndroidユーザーかiOSユーザーか、具体的にどのようなコード読み取りアプリを使っているのか、遷移先となるブラウザは何を使っているのか…など、複雑なパターンを再現しつつ、不具合が発生しないことを保証する必要があったからです。
一方、無限に想定されるユースケース全てに対応することはできないため、PayPayユーザーのアクセス環境を分析し、使用率の高い端末やOS、コードリーダーへ優先的に対応しました。最終的に数十通りのパターンを洗い出し、わずか1週間で全パターンをテストしました。不具合が発生した際は、開発部門の意見を聞くのはもちろん、時には社内で活用する生成AIツールにも意見を貰いながらテストを進め、バグを1つひとつ潰していきました。「もっとPayPayを便利に使ってもらいたい」という想いが支えになり、地道な作業を乗り越えられたと思います。
プロジェクトの成果と、得られた学びを教えてください
Akari:
これまで、毎月数十万回の試行があった標準カメラ決済に対応でき、決済までの所要時間も60%以上削減できました。SNSでユーザーの方が喜んでいる姿も見れましたし、経営陣からも「今まで決済を諦めていた方が多かったはずで、事業に良い影響があるね」とポジティブな反応をいただいて嬉しかったです。
このプロジェクトを通じて感じたのは、PayPayのチームワークです。入社したての私の問い合わせにも丁寧に答えてくれる姿を見て、PayPayグループのメンバーが大切にする価値観“PayPay 5 senses”の中にある「Ego is not welcome, Communication is neccesary」が浸透していることを実感しました。また、業界としても珍しい標準カメラ決済にいち早く対応できたことで、ユーザーの皆さまに利便性を感じていただけた経験から、同じく“5 senses”にある、「SPEED is our bet on the market」という一節の大切さも学びました。
Yuka:
多くの関係者と議論を重ね、懸念点を解消した状態で機能をリリースできたことは、私にとって貴重な経験となりました。プロフェッショナル揃いの会社だからこそ、私自身も「Be Sincere to be Professional」の姿勢を大切にし、関係者の意見に経緯を払いつつ、一度請け負った仕事を最後までやり抜けたことにホッとしています。
Chelsea:
このプロジェクトでは、開発の早いタイミングからテストを始めるシフトレフトの概念を取り入れたり、AIを活用した一部フローの自動化を試みたりするなど、実験的な取り組みも行いました。実際にテストを行ってみて、改善点やさらなる自動化の余地を見つけられたのが収穫です。今後は、AIを活用したテストや、テストケースの最適化に挑戦し、より効率的で効果的なQAプロセスを構築していきたいです。
プロダクト部門の強みは、どんな部分だと思いますか?
Yuka:
PMOとTPM(Technical Program Manager)が各開発部門にアサインされ、チームメンバーやプロジェクトの特性に合わせた開発スタイルを採用できる点は強みです。例えば、リリース目標が絶対にずらせないプロジェクトでは、PMOがPMにも参画してウォーターフォール型で開発を主導し、リリース後の改善プロジェクトに関しては、TPMが主導して機動的な対応ができるアジャイル体制を構築していく、といった対応が可能なため、自分の強みを最大限発揮しやすい環境が用意されています。
Chelsea:
PayPayはマイクロサービスアーキテクチャを採用しており、各サービスを機能ごとに最小単位で管理している点が特徴的です。サービスが機能単位で分割されているため、独立した形で各機能のテストが可能です。これによりテストサイクルを早め、迅速なリリースを実現しています。また、各種テストフレームワークの活用で自動化率も高く、効率的かつ質の高いテスト環境があるのも強みです。
Akari:
高度な専門性が、属人的ではなく属チーム的に根付いているのも特徴です。PMはプロダクト開発のマネジメント、PMOはPMのサポートといった業務の専門性をチーム内で高めあい、各分野のプロフェッショナルとして目標達成に貢献しています。メンバー同士でフォローし合う文化も強く、業務の引き継ぎやキャッチアップもスムーズです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします
Akari:
PayPayに入社して、想像していた以上にグローバルで、ダイバースな会社だと感じました。ユーザーファーストなサービスづくりへの強い気持ちは求められますが、PayPayをより良くするためのチャレンジは、ジェンダーや国籍に関係なく歓迎されます。多様なメンバーと、世界No.1のフィンテック企業になるためのチャレンジを楽しめる方のご応募をお待ちしています!
Yuka:
PayPayは、PayPayグループ全体でシナジーを発揮し、想像を超えた成長を目指す事業フェーズに差し掛かっています。私もPMOの面からグループシナジーを創出するため、コラボレーションに必要なIT基盤の整備や、ツールの最適化などを進めています。目標や事業が絶えず変化する環境下で、スピード感をもってグループシナジー創出に没頭できる方と一緒に働きたいです。
Chelsea:
QAメンバーがAIや新しいモジュールを活用したテストの改善を絶えず行っているように、PayPayには最先端の技術をどんどん取り入れ、業務を改善していく社風があります。ですが、6,800万人(2025年3月時点)のユーザーを抱えるPayPayは、ひとりの力では改善し切れません。チームで相互に知見をシェアし合い、協力しながらサービス改善やスキルアップをしていきたい方には、最適な環境があります。
※募集状況、社員の所属等は取材当時のものです。

