データ価値を最大化しグループ全体で活用する。CDOが語るPayPayグループのデータ戦略

2025.07.10

PayPayリーダーインタビューは、PayPayグループトップの人柄や考え方を紹介するシリーズです。今回は、PayPayグループのデータ活用を牽引する、CDO(最高データ責任者)の角田洋祐さんにお話を伺いました。

角田 洋祐(つのだ ようすけ)

CDO 兼 法務リスク統括本部 データ戦略部 部長

2019年1月にPayPayへ入社し、2021年4月にCDO室(現在のデータ戦略部)を立ち上げ、データ保護体制の確立やCBPR認証取得へと貢献。PayPayのデータガバナンス高度化とデータ利活用の推進を目指し、2023年4月よりCDOに就任。データ保護と利活用の両面で、PayPayグループ全体のデータ戦略をリード。

「データの価値創出力の最大化」をミッションに掲げる

CDOとしてのミッションは?

PayPayにおいて、個人情報保護体制の構築、管理・監督が私に課されたミッションです。ただ、PayPayにおけるCDOは守り一辺倒では務まりません。PayPayグループ全体のデータガバナンス推進、データ利活用促進も私の使命だと捉えています。個人情報保護申請プロセスの最適化や個人情報に係るリスクアセスメントの全社普及、AI活用におけるプライバシー保護をはじめとしたデータガバナンスの整理など、内部管理体制の高度化を第一に掲げつつ、近年はデータ利活用に注力しています。

時に相反するデータ保護と活用の両立はチャレンジングですが、6,900万のユーザー(2025年5月時点)を擁するPayPayに加え、グループ各社が保有する圧倒的なデータ量を活かすため、2025年度よりデータ戦略部門のミッションとして「データの価値創出力の最大化」を掲げています。

PayPayが保有する決済および加盟店データはもちろん、PayPayカードやクレジットエンジンが持つ与信情報、PayPay証券やPayPay銀行が持つ金融資産情報などをかけ合わせれば、「日本一、ユーザーの金融事情を熟知している企業」になることができると確信しています。これらの多岐に渡るデータをユーザーに安心してもらえる形で活かし、ユーザーが求めているサービスやプロモーションをピンポイントでリリースし、日々の生活をより便利に変えていきます。

これまでのキャリアについて教えてください

プログラミングやPCゲーム好きが高じてゲーム会社にプログラマーとして入社したことに始まり、SIerを経て、当時ヤフーの子会社だったネットラスト(2024年2月にLINEヤフー株式会社が吸収合併)でシステム開発に従事し、後にヤフーへ転籍しました。PayPay入社のきっかけは、ローンチ直後のPayPayをサポートしたいと思い、社内公募に手を挙げたのがきっかけです。

PayPay入社後は、サービスローンチやグロースを最優先する強烈なカルチャーを体感しました。半年ちょっとでPayPayというサービス自体がローンチされたことは今考えても信じ難いですし、その後のキャンペーン実施や様々な新機能の追加などを目の当たりにし、ユーザーに最高なサービスを最速で届ける、その一点に向かって邁進する会社だなと感じましたね。

圧倒的な保有データを活かすため、グループ内でのスムーズなデータ連携を実現する

データ戦略設計体制の変遷を教えてください

入社当時は、法務部が個人情報保護に取り組む体制を取り、データ戦略専門の組織はありませんでした。サービス規模の拡大に伴い、PayPayにも高度なデータ保護体制の構築が求められ、当時CDOであった寺田(現CCO/CRO/DPO)と共に2021年4月にCDO室(現在のデータ戦略部)を立ち上げました。

私はそれまで個人情報保護やデータガバナンスについて学んだことや業務で携わった経験はありませんでしたが、CDOおよびCDO室は実効性のあるデータ保護体制の構築だけでなく、将来的にはデータ利活用も推進する役割も持つという構想から、エンジニアとしてシステムやデータを扱ってきた私に声がかかりました。CDO室では法務メンバーや弁護士などと協議を重ねてデータ保護体制の大枠を構築し、2022年12月にはCBPR認証を取得。データ保護に一定の目途が立ったタイミングで、「これからはデータ利活用に乗り出す」と方針が固まり、私がCDOとしてCDO室を率いることになりました。

データ利活用の面で抱えている課題は?

PayPayグループが急成長を続けるためには、保有している圧倒的なデータ量を活かし、グループシナジーを最大化していくことが求められます。もちろん各サービス開発の現場では取り組みを進めているものの、データ活用による成長の余地はまだ大きいと感じます。

一方、グループ間でのデータ連携には課題が多いです。加速度的に変化していくマーケットで他社に先んじて革新的なサービスを生み出すためには、グループの機動力を生かした素早いリサーチや分析が欠かせません。ですが、実際にデータを連携するとなった場合、個人情報保護や各種業法の遵守、プライバシーへの影響など様々な観点からの確認プロセスをクリアする必要があり、実現までにかなりの時間を要します。これらは全て必要でスキップすることは許されませんが、グループ全体で効率的に適切なレビューができるよう、確認プロセスは改善する必要があると考えています。

課題解決に向け、どのような取り組みを行っていますか?

まずは、特定の部門だけではなくグループ全体で「ユーザーに最高のサービスを届けるためにグループのデータを活用する」という文化を生み出し、意識を浸透させることが重要だと考えています。

PayPayカードやPayPay銀行、PayPay証券などのグループ各社には、それぞれの文化や歴史、それに基づいたデータに関するポリシーやプロセスがあります。各社の考え方も当然大切ですが、グループ全体でより大きなシナジーを生み出すには、異なるアプローチを検討する余地があると考えています。データやプライバシーの保護は維持しつつ、ポリシーやプロセスを改善していく必要があります。簡単な取り組みではなく、やりきるためにはメンバー全員にグループのデータを活用するという文化、意識を共有する必要があります。そのために何をどう変えるべきか、各社と絶賛議論中です。

攻めと守りのバランスを取るために、相手の立場を意識する

PayPayグループでデータ戦略に携わる醍醐味は?

まず、圧倒的なデータ量が持つポテンシャルを活かすためのチャレンジができることです。「どうすればもっとデータ利活用がスムーズになるか」「データ利活用を行ううえでの困りごとは?」と徹底的に考え、現場のニーズを理解した本質的な解決策を生み出せれば、グループ間のシナジーを活かした前例のないユーザー体験の創出につながります。

また、メンバーや経営陣のデータリテラシーが非常に高く、データ利活用に対する期待や熱量の高さを感じます。領域を問わず各本部にデータのプロが在籍しているだけでなく、誰もが分析基盤へアクセスし、データを分析する会社です。メンバーがデータに精通しているぶん、中途半端な施策は打てないという責任感はありますが、期待を背負いながら行う業務には充実感があります。

仕事をするうえで大切にしていることは?

「正しくあること」を大切にしています。大変なことを目の当たりにすると「できれば避けて通りたい」と思うことも誰しもがあるでしょう。ですが、PayPayグループの守りを預かる立場として、問題を見て見ぬふりをすることは許されません。困難な状況に直面した時こそ、自らの内なる声に耳を傾け、「CDOとしてPayPayグループのデータ領域をリードするのが私の責務だ」「リーダーシップを発揮できなければ、自分に存在意義はない」と再確認し、常に本分を忘れないよう心がけています。

また、攻めと守りを担う部署だからこそ、バランス感覚も意識しています。仕事では相手が今何を考えているか、自分の立ち位置はバランスが取れているのか、などを徹底的に自分の中で考えています。相手の立場になって考えることは、CDOの仕事をするうえで欠かせない要素です。

「世界一ユーザーを熟知している企業」という究極のゴールを目指して

今後のビジョンを教えてください

CDOとして、私が思い描く究極のゴールは、PayPayが金融に限らず「世界一ユーザーのことを熟知している企業になる」ことです。今のところ、世界一ユーザーを深く理解するための明確な手段は模索中ですが、目の前の金融領域における日本一を目指す過程で、その先に進むべき道も見えてくるのではないかと思っています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします!

PayPayでは、「何かを実現したい」という意思が明確にある人が活躍する傾向にあると思います。データガバナンス領域は、データガバナンスという用語の明確な定義が浸透しておらず、全体を通じて理想を持っている人がまだ少ない分野ではあります。ただ、「データの収集フローをこう変えたい」「こうやってデータを扱える会社にしたい」といったように、特定分野であっても明確な意思を持ちつつ、周りの仲間の意見や取り巻く状況を踏まえて、課題の解決に向けて柔軟に取り組める方とぜひご一緒したいです。

※募集状況、社員の所属等は取材当時のものです。

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