PayPayグループのビッグプロジェクトの舞台裏に迫るProject Storyシリーズ。本シリーズでは、重要プロジェクトにスポットライトを当て、その裏にあった障壁や各担当者のこだわりなど現場でのリアルなストーリーを、担当者へのインタビューを通じてお届けします。今回は、PayPay銀行が満を持してリリースした「保証協会付融資」のプロジェクトについて、その実現を牽引したキーパーソンたちに話を伺いました。

柴田 直良(しばた なおよし)
PayPay銀行 ビジネス統括本部 副統括本部長
楽天銀行、住信SBIネット銀行を経て2022年にPayPay株式会社に入社。給与デジタル払い事業の立ち上げなどを経て、PayPay銀行へ出向。2025年5月より現職。PayPay銀行の事業拡大をミッションとし、PayPayグループおよび各事業本部のポテンシャルを最大限に引き出すべく経営方針の浸透やグループ連携を推進している。

小田部 博康(おたべ ひろやす)
PayPay銀行 ビジネス事業本部長 兼 ビジネスローン事業本部長
新卒で大手銀行に入社し法人営業を経験後、ヤフー株式会社(現LINEヤフー株式会社)を経てジャパンネット銀行(現PayPay銀行)へ出向。個人・法人口座の獲得等に従事し、2025年10月に転籍。法人および個人事業主の成長を支え、口座のメイン利用促進と収益基盤強化を目指している。

青島 洋輔(あおしま ようすけ)
PayPay銀行 ビジネスローン事業本部 ビジネスローン推進部長
新卒で大手銀行に入社し、支店・本社勤務を経て、2003年にジャパンネット銀行(現PayPay銀行)に出向。新商品企画や法人事業の立ち上げに従事し、2025年5月より現職。法人向け融資商品の企画・推進を担当している。
法人融資市場への第一歩となるマル保
そもそも保証協会付融資とは?
青島:
保証協会付融資(以下、マル保)は、中小企業や個人事業主が金融機関から事業資金を借り入れる際に、信用保証協会が公的な保証人となる制度です。銀行単独審査の場合、融資のハードルは高くなりがちですが、公的な保証を通じて円滑に融資を受けられます。ただ、対面手続きが原則であったため、ネット銀行でマル保を提供していた事例はなく、地方銀行や信用金庫といった地域密着型の金融機関が主な担い手でした。

なぜ、PayPay銀行はマル保に着目したのですか?
小田部:
ジャパンネット銀行からPayPay銀行へ改称し、PayPayとの連携が深まるにつれて、法人や個人事業主の口座数は飛躍的に増加しました。しかし、売上金の受け取りだけに口座が利用され、現時点ではメインバンクとして利用されづらい状況です。
私たちが事業者の真のパートナーとなるには、融資を通じてお客様の事業成長を支え、メインバンクとしての地位を確立する必要がありました。一方で、中小事業者の多くは日中に本業で忙しく、銀行窓口へ足を運ぶこと自体が大きな負担です。この課題を解決し、メインバンク化への第一歩とするために、ネット銀行の強みを活かしたオンラインでのマル保提供という考えに行き着きました。
柴田:
PayPay銀行は2025年4月のPayPayグループインを契機に、経営方針が大きく変わりました。「規模を追求する」という方針を掲げ、特に法人融資領域では、先行する他社に追いつき、5年以内に追い越すという目標を掲げています。
銀行ビジネスにおいて、預金をどれだけ貸出に回せているかを示す預貸率は非常に重要な指標です。法人融資は、高収益を生み出す上で欠かせない事業ですが、オンライン化という領域に関してはどの銀行も本格的な進出前でありブルーオーシャンと言えます。当社およびPayPayグループの強みである「ユーザーファーストを追求したUI/UX」や「圧倒的なシステム開発能力」、そして「PayPayが持つ強固な加盟店基盤」を掛け合わせることで、ネット銀行の中で圧倒的な優位性を確立できると確信しています。
今回のマル保は、単なるサービスではなく、法人融資市場で本格的に戦っていくための最初の一歩としてリリースを目指したものになります。
足掛け5年、想いをのせた粘りの交渉でマル保を実現
プロジェクト推進の過程を教えてください
小田部:
プロジェクトへ着手したのは、約5年前のことでした。マル保は対面で複数回の書類のやり取りを行うのが原則でしたが、私たちはユーザーの利便性を第一に考え、信用保証協会にオンラインでの手続き導入を相談しました。しかし、最初に面談の機会をいただいた際は、導入に対し慎重な様子であると感じました。
対面を通じた融資で円滑にお金が循環していましたし、実店舗をもたないネット銀行に、マル保を扱えるのか疑問を抱いていたのだと思います。ちょうど同時期、社内でもプロジェクトの優先順位が整理され、本件は一旦中断を余儀なくされました。

青島:
転機となったのは2022年頃でした。新型コロナウイルスの影響でいわゆる「ゼロゼロ融資」が始まり、信用保証協会の窓口は膨大な申請量と対面での手続き、また紙の書類でパンク状態になったと聞きました。こうした状況を受け、協会側も前例のない申込業務のオンライン化という変革への意識が高まりました。
私たちは、この変化を踏まえて再び交渉に臨みました。中断期間、私たちはPayPayグループとのシナジーを発揮してビジネスローンや預金残高といった実績を積み上げており、信頼できる金融機関であることを伝え、地道にコミュニケーションを重ねました。また、ネット専業銀行として培ったオンライン手続きのノウハウで、協会の課題解決にも貢献できるWin-Winの取り組みであることも強調しました。
足掛け5年、交渉の過程を振り返ると「忙しい経営者が24時間いつでもネットで融資を申し込める環境を提供したい」という一心で、何度も協会と話し合いを重ねたことを思い出します。熱意が実り、やがて私たちの想いに協会も共感してくれるようになりました。
サービスづくりの観点では、どのような部分に注力しましたか?
小田部:
24時間365日のオンライン申込に対応するための、ユーザーファーストなUI/UX設計です。入力補助機能や、必要書類のアップロードをスムーズに行える仕組みを導入することで、従来の紙での手続きで発生していた手間や時間を大幅に削減しています。これらの取り組みにより、お客様は時間や場所にとらわれず、自身のタイミングでスピーディーにマル保の申し込みを完結できるようになりました。
どのような成果に繋がりましたか?
青島:
原則、紙の書類を使い、対面でしか手続きできなかったマル保が、オンラインにて申込完結できるようになったのは大きな成果です。特に小規模な事業者にとって、本業の傍らに行う資金調達は非常に時間と手間がかかる作業です。ですが、PayPay銀行のマル保を使えば、空き時間にスマホ一台で融資が申し込めるようになります。これは、事業者にとって本業に集中できる時間が増えることを意味し、お客様の事業成長を今まで以上にサポートできる体制が整ったと考えております。

融資を通じて新たな価値を創造し、日本経済を底上げしたい
PayPay銀行で働くやりがいや面白さとは?
小田部:
お客様の成長を支えられることにやりがいを感じます。例えば今回のプロジェクトは、ネット銀行にとって前例のない取り組みでした。ですが、マル保のオンライン申込を通じ、煩雑な書面での手続きや、日中に限られた申し込みといった制限を取り払うことができました。ネット銀行ならではのスピード感を活かし、既存の金融サービスが抱える制約を打ち破ることで、お客様に利便性の高いサービスを提供できることが強みです。
青島:
企業が直面する課題や現状を変えられることです。特に、日本の99%以上を占める中小企業は、資金調達に課題を抱えていることが多いです。私のチームは銀行や政府系金融機関出身のメンバーが多く、企業の課題や期待を常に感じてきました。だからこそ、「お客様が本当に求めているサービスとは何か」「どうすればPayPay銀行が新しい価値を生み出せるか」といった議論は非常に活発で、ユーザーファーストという共通のゴールをメンバー全員が共有して新サービスを企画・推進しています。
柴田:
個人向けの銀行取引はオンラインが当たり前になっていますが、法人領域はオンライン取引が普及するどころか、挑戦する事業者も稀であり、本格的な競争すら始まっていません。PayPay銀行は法人領域に挑んでいくことを今後の事業戦略の核の一つにしています。今PayPay銀行に飛び込めば、この未開拓な領域で、誰よりも早く、先頭に立って新しい道を切り拓くチャンスがあります。

今後のビジョンや目標を教えてください
柴田:
繰り返しですが、マル保はあくまで始まりに過ぎません。「PayPay銀行は法人の資金繰りを支えてくれる」という認知を世の中に広め、法人融資の領域で信用金庫や地方銀行を超える存在になることを目指します。
目的達成のためには、組織レベルでの変革が不可欠です。今まさに組織体制の見直しを進めており、中堅企業に対しては、RM(リレーションシップマネジメント)の強化、中小企業に対しては法人・個人を一体として捉えたサービス提供ができる体制づくりを通じ、あらゆる規模の企業に対し価値を提供していきます。
読者へのメッセージをお願いします
小田部:
デジタルと金融の力で、企業の成長を支え、日本経済を底上げするポテンシャルを秘めているのがPayPay銀行です。日本社会の構造が変化し、特に中小企業へのサポートが困難になっている中、私たちの力で活気を取り戻したいと思っています。スピード感をもち、マル保のような前例のないチャレンジを通じて日本の現状を変えたい方、私たちと一緒に新しい法人金融の形をつくっていきましょう。
青島:
PayPayグループの圧倒的な顧客基盤を活かし、グループ一体で革新的なプロダクトを生み出していけるのが魅力です。既存の枠組みにとらわれない銀行サービスの企画・開発に参画し、企業の発展に貢献したいという情熱を持った方と、ぜひ一緒に働きたいです。
柴田:
私たち金融機関にとって最大の社会的意義は「信用創造」にあります。融資を通じて中小企業をエンパワーメントする。融資を通じて、例えば我々のオフィスの近くに美味しい飲食店などが増えるかもしれない。これが楽しい。私たちと共に世の中を良くしていきたい方の参画をお待ちしています。
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