AI前提で業務構造を再設計し、人が価値をつくる──次世代の金融オペレーションとは

2026.01.08

PayPayグループで働くプロフェッショナルに迫るProfessionalsシリーズ。
今回は、業務推進本部長の三栖さん、主要領域を統括する久我さん・友添さんの3名に、業務アーキテクチャ設計やAI前提の業務構造といった、PayPayの成長を裏で支えるビジネス基盤について ロングインタビュー形式で深く伺いました。3人の語りから浮かび上がったのは、ユーザーファーストを起点に事業インパクトを最大化する構造をつくる一貫した姿勢。それはもはや部分的な業務基盤の改善に収まらず、事業の土台を刷新するビジネスアーキテクトの仕事でした。

三栖 匡貴

執行役員/事業推進統括本部 業務推進本部 本部長

ソフトバンク株式会社に1996年入社。物流・営業・EC立ち上げをはじめ、ブロードバンド事業や携帯事業の創業期における営業管理、サービス企画、業務オペレーション構築を歴任。2019年にPayPayへ異動し、加盟店・サービス利用・ユーザーに関わるリスク審査/管理のオペレーション全般を統括。2024年7月より現職。長年の事業運営経験を基に、PayPayの裏側の基盤を牽引している。

久我 善治

事業推進統括本部 業務推進本部 業務企画部 部長

エンジニアとしてキャリアをスタートし、システム開発・ITディレクターを経て、リクルートで業務設計に従事。その後、建設業界向けSaaSスタートアップでプロダクトマネージャーとして事業成長を牽引する。2022年2月にPayPayへ入社し、業務推進チームのリーダーとして全社横断プロジェクトを多数推進。2025年10月より現職。事業・業務・システムをつなぐ視点から、社会にインパクトを与えるサービスづくりを担っている。

友添 祐一朗

事業推進統括本部 業務推進本部 基盤企画部 部長

RPA新規事業の立ち上げやERP刷新プロジェクトマネージャーなどを経験したのち、事業会社でBPR/DX領域に従事。業務とテクノロジーの両面から変革をリード。PayPay採用イベントで掲げられた「SPEED is our bet on the market」に共感し、2022年4月に入社。審査・不正対策など業務基盤を支えるシステムの上流工程を担当し、AI活用・自動化基盤の構築をリード。2024年4月より現職。技術と現場をつなぎ、業務の“次の当たり前”を形にしている。

PayPayの「成長基盤」を設計するという仕事

三栖
業務推進本部の役割は、表には見えない「裏側の体験」をつくることです。ユーザーが迷わず、安心して使える世界は、ユーザーが目にするアプリの画面デザインや見た目だけでは絶対に成立しません。業務オペレーション(※)、データ構造、判断ロジック―こうした裏側の仕組みが一体となって動いて初めて、PayPayの体験は成り立ちます。だからこそ私たちは、PayPay全体の成長基盤を設計する組織だと捉えています。

※「オペレーション」とは、単なる現場作業や効率化施策ではなく、ユーザー体験を裏側で支える業務プロセス・データ構造・判断ロジックなどを含む“ビジネス基盤”全体を指します。

例えば、IDのように複数の部門が関わる領域では、いくら魅力的な画面設計や新しい企画があっても、裏側のデータモデルや定義が整っていなければ、サービスとして成立しません。こうした「裏側の構造」については、プロダクトや関連部門と連携しながら、事業全体として整合が取れているか、スケールに耐えられる設計になっているかを見極めていく必要があります。

AI時代のオペレーション設計というと効率化が語られがちですが、効率化は目的ではありません。目的はあくまで「ユーザーが迷わず安心して使えること」。そのためにまず「どこに詰まりがあるのか」を見極め、ユーザー体験の改善起点から逆算して仕組みを組み直す。これは生産性の議論だけでは辿り着けない、本質的な設計です。

不正検知の再設計:構造のひと工夫で複数KPIを同時改善

三栖
最近、不正検知フローそのものを見直し、ユーザー体験と運用負荷の両面を改善できる新しい仕組みづくりに取り組んでいます。従来の検知方式は広く不正を捉えられる一方で、正しいユーザーにも確認が必要になる場面がありました。そこで、「本人が正しいかどうかを確認できる」仕組みへと改善することで、利用再開までの負担を減らし、CSや運用側の対応も軽減できる設計を目指しています。裏側の仕組みを少し変えるだけで、ユーザー体験や業務全体が大きく前に進む。個々の業務を改善するだけでなく、その背後にある構造そのものを組み替えていく──こうしたビジネスアーキテクトとしての仕事が、PayPayの業務推進の面白さです。

「社会に効く課題」を、事業の真ん中で動かす

久我
私がPayPayに入社した理由は、大きく二つあります。一つは解くべき課題のスケールが大きいこと。もう一つは、意思決定の速さです。入社して最初に驚いたのは、手を挙げれば任せてもらえる環境でした。入社1カ月で、全国の加盟店が利用する画面の改修プロジェクトを任されました。一見するとマーケティングやプロダクトの領域に見える案件ですが、解約率という重要指標に直結する課題だと整理して提案すると、「そこまで考えているならお願いします」と、設計から推進まで一気通貫で担当する流れに。

PayPayの業務推進は、いわゆる効率化の部署ではなく、事業の中核で構造を変えるチームなんだと強く感じました。他社のオペレーション組織にはなかなかない特徴だと思います。そしてPayPayは、良い意味でずっとカオスです(笑)。昨日の正解が今日の正解とは限らない。だからこそ、正解探しではなく、この瞬間の最適解を組織で決めて前へ進む文化が根づいています。この価値観は、自分にはとてもフィットしました。

10万人規模の施策を短期間で立ち上げる実行力

久我
特に印象に残っているのは、自治体と協働して進めた大規模プロジェクトです。
新しい仕組みを短期間で立ち上げる必要があり、要件定義からデータ連携、運用設計まで、複数部門と連携しながらエンド・ツー・エンドで構築しました。結果として、10万人規模の住民に向けたクーポン付与施策を、わずかな期間で立ち上げることに成功しました。複雑な条件下でも、「構造化」「全体設計」「実装」までを一気通貫で進められるのは、PayPayの業務推進ならではの醍醐味だと感じています。

PayPayの業務推進は、構造化 → 全体設計 → 実装 のサイクルを高速で回しながら、営業や企画と同じ目線で事業をつくる組織です。システム、データ、オペレーション、加盟店、企画など複雑な領域が絡むからこそ、誰よりも全体を見て動かなければいけない。だから、0→1の仕組みづくりやプロジェクトの立ち上げを担う機会も少なくありません。白地が多い分、自分の提案が、関係者との議論や検証を経て、スピーディーにプロダクトや業務の仕組みとして実装される場面が多い。直近はAI活用も加わり、挑戦の幅はさらに広がっています。完全自動化、業務ゼロ化、データドリブンの新規サービス創出。どれも前例のない領域です。正解がない世界で、AIと一緒に新しい仕組みをつくっていく。その難しさと楽しさは、これからもっと大きくなると思っています。

AI基盤を前提にした業務構造の再定義

友添
私がPayPayに興味を持ったきっかけは「100億円あげちゃうキャンペーン」(2018年12月に実施)でした。こんな挑戦を本気でやる会社があるんだと衝撃を受けたのを覚えています。その後、自分もPayPayのヘビーユーザーとなり、「行きつけの店で使えるようになった」「公共料金も払えるようになった」といった変化を生活の中で体感していました。社会の標準そのものを変えていると感じ、転職を決めました。入社してまず感じたのは、想像の3倍速い意思決定と実行スピードです。小規模案件なら1〜2カ月、大型案件でも1年はかけません。前職や、一般的な大企業であれば1〜2年かけて進めるようなテーマが、ここでは数カ月単位で動いていく。そのギャップにはかなり驚きました。タフな環境ではありますが、それでも走り続けられているのは、困難な状況でも率直に相談し合え、支え合える関係性があるからです。本部メンバーも他本部も、誠実で真摯。誰か一人で抱え込む必要のない環境に救われてきました。

AI活用の現在地:データ構造という壁と巨大な伸びしろ

友添
入社後、eKYC・不正モニタリング・リスク格付けなどにAIを導入してきましたが、最大の壁は、データ構造の複雑さでした。欲しいデータがどこにあるか分かりづらい、加工コストが高い。これは、正直課題として残っています。一方で、PayPay単体だけでも、eKYC(本人確認)済みユーザー3,800万人規模にのぼるという、高品質なデータアセットを有しています。これは他社にはなかなかない大きなアドバンテージです。この強みを最大化するには、データを点ではなく線や面として扱えるよう、事業横断でデータアーキテクチャを再構築していく必要があります。ここには非常に大きな価値があり、まさに今仲間を求めている領域です。

開発の民主化:現場が自走できる構造をつくる

友添
AIを活用した改善を進める中で必ず出てくるのが、開発リソースと予算の壁です。やりたいことがあっても、前に進められないこともあります。そこで今取り組んでいるのが、「開発の民主化」です。AIを含む開発をパーツ化・共通化し、ローコード・ノーコードで現場が自走できる構造をつくる。これが実現すれば、「エンジニアが不足しているから動けない」「予算がないから動けない」 といった制約を大きく減らせます。もちろん、AIはまだ簡単には入れられない領域もあります。財務や経営判断領域など、世界的にも慎重さが求められている分野はその典型です。ただ、そこで考えるのを止めてしまうと、進化の波に間違いなく置いていかれます。

だから私が意識しているのは、今できることと、今はまだできないことを丁寧に切り分けることです。何が技術の限界なのか。何が法令や社内制度による制約なのか。この違いを見誤ると、未来への準備ができなくなってしまいます。技術と制度が整った瞬間に、迷わずPayPayの隅々までAIを行き届かせられるように、そのための準備をいまのうちから積み重ねている状況です。これが、AI時代のビジネスアーキテクトに求められる姿勢だと思います。AIは技術としてもまだ途上で、日々驚くほどのスピードで進化しています。だからこそ、利用する私たち自身も、固定観念にとらわれず柔軟に学び続け、変化に適応していく必要があります。AIを前提とした業務構造へと確実にシフトし始めている今、その未来に必要な基盤をつくり切ることに、大きなやりがいを感じています。一つ確実に言えるのは、 AIを前提とした業務構造へと大きく動き始めているということです。普段から三栖さんと「AI前提の未来」の話をしていますが、私自身も強く共感しています。自分たちの役割は、その未来に必要な基盤をつくり切ること。そこに大きなやりがいを感じています。

AI前提の業務構造と、人の役割の再定義

三栖
AIや自動化の基盤はこれからさらに広がり、業務のあり方そのものが変わっていくはずです。PayPay創業期は、すべて人の目視と手作業でした。そこから仕組み化が進み、いまは判断をAIが行うところまで来ている。この流れはもう後戻りしません。この状況で、人の役割は二つに分かれると考えています。一つは、AIが正しく判断しているかを見極めるガバナンス。もう一つは、AIのその先を見据え、新たな業務構造と価値を創造するゲームチェンジャーの役割です。つまり、人がやらなくてもいい作業はどんどんAIに任せ、人はより高度な視点でユーザー体験全体を捉え、「何をどう変えるべきか」を企画する仕事へシフトしていく必要がある。私はこれが、次の時代の業務推進の姿だと思っています。

メンバーにはいつも「AIを単に使いこなすだけでなく、AIとともに新しい業務構造を企画する役割へシフトしてほしい」と伝えています。業務改善の延長ではなく、構造そのものを再発明するフェーズへ入ったからこそ、人が担うべき仕事も確実に変わっていく。PayPayの業務推進本部は、今まさにその変化の先端にいます。この挑戦に可能性を感じ、一緒に未来の仕組みをつくっていける仲間と前へ進みたいと思っています。

変化を楽しめる人が、PayPayで伸びていく

三栖
三人で話していて思うのは、誰もが自然とユーザーファーストの軸を持っているということ。裏側の仕事をしていても、結局はそこに行き着きます。

久我
本当にそうですね。ユーザーの目に触れない領域ほど、こだわり抜く必要がある。私たちの役割は裏側から体験をつくることですが、その根底にユーザーファーストがあるから、大きく間違わないんですよね。

友添
私も全く同じです。基盤側にいても、「途切れない体験をどう支えるか」を考えています。業務変革、AI基盤──立ち位置が異なっても、向いている方向は一つです。

自分ごと化し、構造化し、動かす人材が活躍する

久我
活躍している人の共通点は、「何でも自分ごと化し、ユーザー視点を忘れないこと」だと思います。

友添
私の部も同じです。AIでもシステムでも、「誰のための価値か」を自分に引き寄せながら考えられる人は強い。技術の話をしていても、自然とユーザー視点に戻る人ほど、成果が出ています。

三栖
PayPayは白地の領域が多く、誰かが指示してくれるのを待つだけでは、前に進めません。「こうすれば良くなる」と主体的に提案し、一緒に形にしていく姿勢があれば、必ずチャンスが訪れます。実際に久我さんも友添さんも、まさにその姿勢で短期間に大きく成長してきたメンバーです。その成長ぶりにいつも大きな刺激を受けていますし、本当に頼もしい存在だと感じています。

スピードの裏にある人間性──チームが支え合う文化

友添
スピードの話ばかりだと、ハードに聞こえるかもしれませんが(笑)、実際には、人の良さというより、厳しい状況でも率直に相談し合えて、困ったときには必ず誰かが手を差し伸べてくれる関係性が大きいです。スピードの裏側で、真摯に支え合えるチームだからこそ、走り続けられていると感じます。オンラインのチャットツールだけでは伝わらないこともあるので、短時間でもオンラインで顔を合わせたり、ハイブリッドワークの中でもオフィスへの出社も大事にしたり、対面で会話する機会も大切にしています。身振り手振りを含めたコミュニケーションの質は、やっぱり大きいと感じますね。

久我
私も「オープンさ」は意識しています。言いづらいことを伝えてもらったときこそ、言ってくれてありがとうと返す。そうしないと、メンバーが相談しづらくなってしまう。変化が多い環境だからこそ、明るくオープンな空気作りは欠かせません。

三栖
役職に関係なく、同じゴールに向かう仲間であることが何より重要だと思っています。現場の声には耳を傾けますし、分からないことは「ここが分からないから調べてほしい」と正直に伝える。ユーザーファーストという軸が共有できていれば、あとは一緒に向き合って進んでいくだけです。

未来の仲間へ。新しい時代の標準を一緒につくりたい

三栖
PayPayは、挑戦とスピードが当たり前の組織です。前例のない領域に自ら道をつくり、実装までやり切る。その実行力を本気で求めています。もちろん、思った通りにいかないこともありますが、それでも「どうしたらできるか」を考え、前に進む力こそがPayPayの強さです。それを面白がれる人には最高の環境だと思います。

私がずっと大事にしているのはユーザーファーストです。どうすれば迷わず、安心して使えるのか。その体験を裏側から支えるのが業務推進本部の役割です。AIが進化するこれからの時代、AIが担う領域はさらに広がり、人はその先の価値をつくる役割へシフトしていきます。それでも根底にあるのは「誰のために、何のためにやるのか」を考え続ける姿勢。これさえあれば、どんな変化にも適応できます。

今、PayPayはデジタル金融プラットフォームを目指し、金融の標準そのものを塗り替えようとしています。AI・データ・業務を包括した「新しい構造」をつくる挑戦です。

新しい領域に自ら踏み出せる人、
変化を楽しめる人、
前例のないことを自ら仕組みに落とせる人。

そんな方にぜひ来ていただきたいです。私たちと想いに共感してくれる仲間と、次の時代の「当たり前」を一緒につくれることを心から楽しみにしています。

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