PayPayグループで働く圧倒的プロフェッショナルに迫るProfessionalsシリーズ。
今回は、マーケティング戦略の立案と顧客価値(LTV)の最大化に取り組む、戦略企画リーダーの室井真さんにお話を伺いました。これまでのキャリアや仕事への向き合い方、そしてPayPayならではのマーケティング戦略企画の醍醐味に迫ります。
室井 真(むろい まこと)
事業推進統括本部マーケティング戦略本部マーケティング戦略部戦略企画リーダー
大学卒業後、精密機器メーカーに入社し、経営企画として時計事業における生産部門の損益管理やPSI最適化、市場調査に基づくKPI設計などに従事。2019年12月にPayPayへ入社後は経営企画部にてKPI分析・レポーティングを担当。その後マーケティング領域へと軸足を移し、現在はマーケティング戦略本部にて戦略立案・推進を担い、マーケティングの高度化と事業成長に取り組んでいる。2026年4月より現職。
「安定」から「変化」へ。PayPayを選んだ理由
新卒時は、無理なく働ける環境を選び、負荷も少ない会社に入社しましたが、2年半ほど働いた頃、このままでいいのかという危機感を持つようになりました。社内には、ほとんど転職者がおらず会社一筋でキャリアを積んできた方が多く、大きく変化していく社会の中で、外に出たときに通用するのか不安とどこか物足りなさも感じていました。残業も少なく働きやすい環境ではありましたが、20代のうちはもっと困難や挑戦が求められる環境の方が、私には向いているのではないかと考え、あえて真逆の環境に飛び込むことを決めました。
そして、選んだのがPayPayです。「100億円あげちゃうキャンペーン」に象徴されるように、前例のないスケールで大胆な施策を実行する会社という印象がありましたし、単に勢いがあるという会社ではなくキャッシュレスの流れや海外の動向を見ても、この領域は確実に社会インフラになると思えました。「今の環境と対極にあること」と「社会に不可欠になること」その両方を満たしていたのが、PayPayでした。

数字を読む立場から、数字を動かす立場へ
入社後は経営企画として、決済回数や取扱高といったKPIの予測や分析を担当しました。数字をもとに「何が起きているのか」を解釈し、経営の意思決定を支える役割です。数字を通じて会社の現在地や経営層の意思決定に触れられたことは、大きな学びでした。一方で今は「どうすればその数字を動かせるのか」を考え、仕掛けていく側に回りました。解釈する側から、変化を生み出す立場へ。同じ“数字”でも、その意味は大きく変わったと感じています。
もともと担当していた領域がマーケティングとの接点が多かったこともあり、自然とこの領域に関心を持つようになっていました。加えて、「このまま経営企画だけでキャリアを続けていいのか」という思いもあり、機会があれば他領域に挑戦したいと考えていました。そうした意思を持ちながら仕事に向き合っていたこともあり、現在はマーケティング領域に深く関わるようになりました。PayPayでは、自ら手を挙げて挑戦する姿勢や専門性を広げようとする意思を尊重する文化があり、その点は実際に働く中で強く実感しています。
もう1つ大きな違いは、意思決定への関わり方です。今は事業部門として「その目標をどう達成するか」まで踏み込み、施策の実行まで責任を持って関わっています。また、マーケティング組織の中で自分の強みは、財務や利益構造への理解です。顧客価値を考える上では、1決済あたりどれだけの利益が生まれているかという視点が不可欠です。その理解を前提に意思決定に関われる点は、自分の価値だと感じています。

LTVを起点に、マーケティングの判断軸を変える
特に印象に残っているのは、LTV(顧客生涯価値)を軸とした施策評価の仕組みづくりです。PayPayでは施策への投資判断をLTVで行っていますが、このLTVを正しく算出するのは容易ではありません。
単にGMVやユーザー数の増加だけでなく、そのユーザーがどれだけ利益に貢献しているかまで見なければ、本質的な評価にはならないからです。つまり、「ユーザーが増えたか」ではなく、「そのユーザーがどれだけ価値を生んでいるか」を見なきゃいけない。これまでのマーケティングとは、判断軸そのものが変わる取り組みでした。この考え方を実務に落とし込むために、自ら手をあげて、施策評価の仕組みを設計しました。
施策の効果を評価する際には、「もともと利用頻度の高いユーザーだったから数値が伸びただけではないか」というバイアスが生じやすいです。つまり、施策によって生まれた変化なのか、もともとの傾向なのかを切り分ける必要があります。そのため、施策対象と同条件のコントロールグループを設計し、純粋な増分効果を測る仕組みを構築しました。最適な設計は一つではありませんが、キャンペーンごとに仮説を立てて検証し、どのような利益構造の変化が起きるのかを見極めながら、比較対象の設計も含めて検証を繰り返しています。試行錯誤を重ねながら、指標の整理と運用設計まで落とし込み、現在は実務として回る状態をつくることができています。
この仕組みを整えたことで、マーケティングの意思決定は大きく変わりました。これまでのようにユーザー数やGMVといったトップラインだけでなく、「どれだけ利益を生むか」という視点で判断できるようになっています。結果、たとえユーザー数が大幅に増えなくても利益構造の観点で意味がある施策であれば実行する、という意思決定が可能になりました。

「決済」から「金融」へ。次の価値をつくる
戦略企画の立場で向き合っているのが、PayPayを「決済のアプリ」から「金融のアプリ」へ進化させることです。PayPayはキャッシュレス決済の代表的存在として認知されていますが、今後は支払うだけでなく、お金を管理する、増やす、備えるといった領域まで含めて、ユーザーにとってのお金のパートナーになることを目指しています。背景には、日本の環境変化があります。インフレへの転換や新NISAの開始により、資産形成をしている人とそうでない人の差が広がりやすい時代になりました。すでに多くの人に使われているPayPayが入口になることで、これまで資産形成に縁のなかった人にも新しい選択肢を届けられる可能性があると考えています。
一方で、投資や資産形成に対する心理的ハードルは依然として高く、「難しそう」「不安」といったイメージを持つ人も少なくありません。だからこそ、専門用語ではなく、生活者の感覚に寄り添ったシンプルな伝え方が重要になります。何を、誰に、どの経路で届けるべきか。その戦略をゼロから設計できる点に、この仕事の面白さがあります。特に若年層に対しては、若年のうちから決済を起点にPayPayに慣れ親しんでいただくことが重要です。ポイント運用やPayPayクレジットなどを通じて、日常的にお得で便利に使っていただく中で、決済にとどまらず金融面でも自然とPayPayを利用していただけるような流れを、より一般的なものにしていきたいと考えています。
正解がない環境で、自ら問いを立てる
PayPayでマーケティングに携わる面白さは、まだ誰も答えを持っていない点にあります。完成された企業では進むべき方向がある程度決まっていますが、PayPayはその方向自体を自らの手でつくっていける。自分の仮説や行動が、会社の進む方向に影響を与える。これは他の会社ではなかなか経験できないことです。
一方で、誰にでも合う環境ではありません。自ら仕事を広げ、深めていくことが求められます。それができないと、PayPayで働く面白さに出会う頻度は減ってしまうかもしれません。自分で問いを立て、仮説を持って動き続けられる人にとっては、これ以上なく面白い環境だと思います。反対に、用意された仕事を着実にこなしたいという方には、厳しさを感じる環境だと思います。
未来に向けて
PayPayの成長スピードに振り落とされるのではなく、私自身しっかり食らいついていきたいと考えています。ただ作業をこなすのではなく、自分なりの仮説やスタンスを持って臨むことで、質の高い経験値が蓄積されていくのではないかと思っています。その積み重ねの先に、自分のキャリアがあると思っています。振り返ったときに、「決済のPayPayから金融のPayPayへ変わっていく、その最初の一歩に関われた」そう思える1年にしたいですね。
※募集状況、社員の所属等は取材当時のものです。
