PayPayの上に「金融の塔」を築く ─ 銀行を再定義する次の一手

2026.06.08

リーダーインタビューは、PayPayグループ各社のリーダーの人柄や考え方を紹介するシリーズです。今回は、2026年4月にPayPay銀行株式会社 代表取締役社長に就任した谷田智昭さんにインタビュー。「PayPay金融の塔」を築くという構想のもと、銀行の役割をどう再定義し、どのように事業を進化させていくのか、その戦略と背景にある考え方を聞きました。

谷田 智昭(たにだ ともあき)

PayPay銀行株式会社 代表取締役社長

金融とインターネット双方の領域で事業に携わる。2003年にヤフー株式会社へ入社し、Yahoo! BB事業、Yahoo! JAPAN IDなどユーザープラットフォーム事業をリード。2012年より執行役員R&D統括本部長、金融統括本部長を歴任し、金融領域の事業成長を推進。その後、2019年よりZフィナンシャル株式会社代表取締役社長としてグループの金融事業を統括。PayPayカード株式会社代表取締役社長としてブランド統合と事業成長を推進し、2026年4月よりPayPay銀行株式会社代表取締役社長に就任。決済・カード・銀行を横断した金融体験の進化に取り組んでいる。

「PayPay金融の塔」とは 銀行を再定義する新しい構想

これまでのキャリアについて教えてください。

2003年にヤフーに入社して以来、一貫してインターネットサービスと金融の領域に携わってきました。その中で自分の中に根付いたのは、「自分たちの手でつくり、すぐに届ける」というものづくりのスタイルです。エンジニアやデザイナーと密に連携しながら、ユーザーの声をもとに改善を重ねていく。このスピードと一体感が、自分の原点になっています。また、「会社の外に出たら、あなたは社員ではなくユーザーだ」という考え方にも、強く影響を受けています。自分自身がユーザーとしてそのサービスを使ったときに、本当に勧めたいと思えるかどうか。ユーザー視点でプロダクトを見ることを大切にしてきました。

PayPay銀行の社長に就任した今、どのような戦略を考えていますか。

人の成長やライフステージの変化に合わせて、必要な金融サービスが自然に積み重なっていく。そうした体験を、PayPayというプラットフォームの上で届けていきたいと思っています。例えば、決済を基盤として、その上に銀行、カード、証券、保険といった金融サービスが人の成長とともに積み上がっていく。初めてキャッシュレス決済を使った日、初めて銀行口座を持った日、初めて給料を受け取った日。そんな一期一会に、PayPayの金融サービスが寄り添っていく自然で必然な体験を重ねていただきたい。また、自分の中ではそれをお客様ごとの「PayPay金融の塔」と呼んでいます。

PayPayはすでに7,400万人のユーザーに利用されており(2026年5月時点)、そのうち4,000万人以上がeKYCを完了している金融プラットフォームです。PayPay銀行は、2026年4月に1,000万口座を突破し、PayPayグループイン以降、グループ内でのPayPay銀行利用者は着実に広がっています。私たちが目指しているのは、PayPayを使っている方にとって、PayPay銀行の利用が当然の選択肢になる状態です。その背景には、「オンリーワンになるには、圧倒的ナンバーワンにならなければいけない」という考え方があります。中途半端なポジションではなく、圧倒的に選ばれる存在になるために、PayPay銀行のプロダクトを磨き込みます。

残高は「連携」ではなく「一体化」 金融体験はどう変わるか

PayPay銀行の成長において、特に重要なポイントは何ですか。

目指しているのはPayPayとPayPay銀行による「残高」体験の統一です。PayPayとPayPayカードでは、「決済」体験の統一を行いました。PayPayのユーザーに支持されている体験を統一する、これはPayPayグループの勝ち筋です。なので、「残高」の体験を統一し、PayPay残高と銀行預金残高を、ユーザーが迷いなく1つの残高として扱える状態に変革します。例えば、給与が振り込まれたらPayPayで通知が届く。仕送りがあれば、すぐに誰からの入金か分かる。支払いも送金も、すべてが1つの体験としてつながっていきます。これまでPayPay「残高」で提供してきた体験を、そのまま銀行預金「残高」でも体験できるイメージです。さらに、チャージという概念をなくし、銀行残高からそのまま決済できるようにするだけでなく、出金(スイープ)という概念もなくし、ユーザーに支持されている体験を統一し、シンプルにしていきます。

データとAIで進化する金融 クレジットマネジメントの考え方

金融事業としての強化ポイントを教えてください。

グループ全体で重要になるのは、クレジットのマネジメントです。一般的には与信と呼ばれる領域ですが、私たちは信用を与えるというよりも、ユーザーにとって無理のない形でお金を使えるように支えることが重要だと考えています。PayPayには膨大なデータがあり、カードや決済の実績もあります。それらを活用することで、実際に、「PayPay店舗専用ローン」などでもデータを活用した新しい金融体験の実装が始まっています。

PayPay銀行単体で完結するのではなく、PayPayカードやPayPayと連携しながら、グループ全体で最適なモデルをつくっていく。それが結果として、ユーザーにとって計り知れない価値のある金融サービスにつながります。

AIと内製化で変わる銀行開発 テクノロジーカンパニーへの進化

AIの活用についてはどのように考えていますか。

私たちの根幹は、金融機関であると同時に、テクノロジーカンパニーでありたい。AIは、開発のあり方を大きく変える存在です。生成AIを活用することで、開発効率は大きく向上し、体感としては5倍、10倍の生産性向上も見えてきています。現在は基幹システムのリプレイスも進めていますが、これをAIとともに進めることで、これまでの金融機関とは全く異なるスピードで開発ができるようになります。

そのためにも重要なのが「内製化」です。自分たちの手でプロダクトをつくり、自分たちの意思で改善していく。このサイクルを強固に回せる組織にしていきます。だからこそ、エンジニアが働きたいと思える環境づくりにも力を入れていきます。モダンな開発環境や柔軟な働き方を含め、従来の銀行では実現が難しかった、テクノロジーカンパニーとしての基盤を整えていきます。

仲間とつくる組織 成長を積み重ねるための考え方

組織として大切にしている考え方を教えてください。

最も大切にしているのは「仲間」です。自分たちの仲間がつくったサービスだからこそ、自信を持って人に勧められる。逆に言えば、自分たちの手でつくっていないものには、そこまで強い思いは持てないと思います。もう1つは、「各領域で着実に成果を積み重ねていく」という考え方です。人事、開発、デザインなど、あらゆる領域で昨日の自分より成長しているか。それを積み重ねていくことで、結果としてオンリーワンになれると考えています。そのためには、一人ひとりが常に自分をアップデートし続ける状態であることが重要です。

「PayPay金融の塔」を完成させる 目指すはインハウス8割

今後のビジョンについて教えてください。

5年後のイメージとしては、「インハウスシェア8割」を達成します。例えば、PayPayの決済に使われる資金の大半がPayPay銀行から出ている状態。カードの引き落としや証券のスイープ口座(自動入出金サービス)も同様です。それくらい使われて初めて、真に選ばれている銀行だと言えると思います。PayPayという強力なプラットフォームがある中で、その中心に銀行がある状態を築き上げる。それが実現できれば、大きな価値になります。

この挑戦を、ともに進める仲間へ

最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

自分たちの手で新しい金融体験をつくり、それを世の中に届けていく。そのプロセスそのものが、この仕事の一番の魅力だと思っています。一言で言えば、「楽しい」です。仲間と一緒にそれを実現できる環境があるのも、大きな魅力です。金融はいまだ黎明期であり、変革の余地は無限です。そして、その巨大な変化をテクノロジーで実現できるのが、PayPayグループに他なりません。この「PayPay金融の塔」を築きあげ、歴史を変える。その挑戦に、強い情熱を持ち、全力で向き合う仲間とご一緒したいです。

※募集状況、社員の所属等は取材当時のものです。

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