Tech Talks vol.52 – テックリードが挑む、PayPayカードの決済処理を変革するプラットフォーム構築

2025.10.16

約50カ国と地域から集まった個性豊かなプロダクトメンバーたちの声を通して、モノづくりへの姿勢や雰囲気をダイレクトにお伝えするTech Talksシリーズ。今回は、PayPayカードのテックリード Abhishekさんに、開発の詳細やプロジェクトを通じて感じる成長などについて伺いました。

Abhishek Jain(アビシェク ジェイン)

テックリード, PayPayカード

インド出身のAbhishekです。インドの大手EdTech企業においてエンジニアリングやテックリードを経験したのち、来日してPayPayに参画しました。その後、PayPayカードへ出向し、決済基盤のシステム構築・開発を担当しています。

レガシーシステムを統合し、ポストオーソリプロセッサーを構築

現在の役割を教えてください

PayPayカードの決済プロダクト本部 Payment Processingチームでテックリードを務めています。クレジットカード取引において発生する、取引の承認を意味する「オーソリゼーション(以下、オーソリと表記)」を中心とした様々なタスクを安全かつ円滑に処理するための、システム設計やコーディングなどを担当しています。

直近で携わった印象的なプロジェクトを教えてください

オーソリシステムに接続する、ポストオーソリプロセッサーの設計および開発です。冒頭でも触れた通り、クレジットカードの利用時は、当社側でのオーソリが発生します。オーソリ後にもユーザーへの結果通知や売上確定といった処理を行っていますが、以前はオーソリシステムとは直接接続されておらず、PayPayカードの取引情報をPayPayアプリにリアルタイムで表示させるような、決済体験向上のための施策を実行しにくい環境がありました。

また、技術的な観点では大量のバッチクエリにより生じるデータベースへの負荷や、ビジネス要件への対応に頻繁な手作業を余儀なくされる点、メンテナンスの複雑さも課題でした。解決策として、オーソリ後のフローを統合し、一連の処理を行うプラットフォームを構築することで、より一層の決済体験向上を可能にする土台づくりを行いました。

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▲従来のオーソリ後フロー

プロジェクトにおける役割を教えてください

プロジェクトオーナーとして、アーキテクチャの設計やコーディング、データ統合プラットフォームの構築を行いました。具体的には、プロダクトチームとの綿密な連携を通じて要件を定義し、他システムとの統合、そして最終的なアーキテクチャの設計とソリューションの構築まで、全工程を担当しました。プロジェクトメンバー全体でも数名規模という少数精鋭の環境で、最初にこの話を聞いたときは「結構難しそうだな」と思った一方、困難な課題へチャレンジできるワクワク感もあったことを覚えています。

直面した課題について教えてください

一つは、既存のレガシーシステムを、可用性を担保した形で統合することでした。低レベルなTCP通信が行われており、統合に際しプロトコルの細かい部分まで手作業で実装を行う必要があったことに加え、クレジットカード業界で求められるセキュリティ水準や可用性の高さにも直面しました。

業界には、PCI DSS(カード会員情報を保護するための国際的なセキュリティ基準)といった規格があり、これらに準拠したうえで、暗号化されたセキュアなプロトコルを介してデータが確実に送信されるようにする必要がありました。さらに、99.99%のアップタイムを目標とする高い可用性やメッセージの完全性、トランザクションのべき等性・アトミック性を確保することも求められました。

こうしたクレジットカード業界特有の制約を理解し、克服するため、ひたすら学ぶことを大事にしました。不足する知識を補うために、社内外のあらゆる資料を読み込み、言語の壁を越えてチームメンバーからも多くの情報を共有してもらいました。既存システムを統合する形でのシステム構築といった技術的な知見はもちろん、クレジットカードに関する知見も得られ、振り返ってみれば学びの楽しさもつまったプロジェクトでした。

2025年6月に無事リリースへと至り、現在はプラットフォームに接続しユーザー体験を向上させる複数の機能開発が進められています。過去、取引情報のリアルタイム通知を実現した際のように、PayPayグループ一丸となって連携を深め、前例のない決済体験をスピーディーに提供する体制が整ったと感じています。

▲ポストオーソリプロセッサー実装後のフロー

変革期ゆえに、サービスの根幹を支えるシステム開発を体感できる

エンジニアにとって、PayPayカードで働く魅力は何だと思いますか?

変革期にあるPayPayカードでは、エンジニアにとってチャレンジングで高付加価値なプロジェクトに携われる環境があります。今回のプロジェクトのように、サービスの根幹を支えるシステムをゼロから作り上げる経験はなかなか味わえません。一方、私たちはお金のやり取りに直接関わるため、一度の失敗がユーザーに大きな不利益を与える可能性があります。安定したサービスを供給する強い責任感が求められますが、厳しい環境こそが学びと成長に繋がります。

言語の壁はどのように乗り越えましたか?

学び合いに尽きると思います。日本語話者とのコミュニケーション機会は多く、「日本語ができればもっとスムーズに仕事が進むのに…」と葛藤した場面もありました。特に、エンジニアリングに関する技術的なコミュニケーションに苦戦したため、最初の半年間は英語が話せるマネージャーたちのサポートを得ながら、語学力とコミュニケーション方法を徹底的に学びました。

時にはホワイトボードを使って図を書きながら説明したりしているうち、周囲のエンジニアの英語力も向上し、お互いの成長で意思疎通がスムーズになりました。技術的な情報交換が気軽にできるようになったことで、開発サイクルも早まり、システムのクオリティも向上しました。

最後に、読者へのメッセージをお願いします!

PayPayカードは加速度的に成長しており、とにかく勢いがあります。ポストオーソリプロセッサーのように、サービスの核心部分を再構築するプロセスが進行中のため、技術力を活かして大規模なプラットフォーム構築に携わるチャンスがあります。困難なチャレンジへ立ち向かう機会のあるPayPayカードでの経験は、自身の成長に繋がりますし、何よりとても楽しいです。ぜひ、一緒にクレジットカード決済の未来を形作っていきましょう!

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